ヘリオスの鍵本社長、開発中の「HLCM051」に強い自信
2020/10/1 9:02
ヘリオス<4593.T>は生体のさまざまな組織にある幹細胞を利用した体性幹細胞と人体と近似の機能を持つ細胞を作成したiPS細胞を用いた再生医薬品を開発している。
体性幹細胞再生薬品では、ARDS(急性呼吸窮迫症候群)や脳こうそく急性期を対象疾患とした体性幹細胞再生医薬品「HLCM051」の治験を実施中だ。同社の取締役兼代表執行役社長CEO(最高経営責任者)である鍵本忠尚氏は、9月30日に公開したモーニングスターの朝倉智也代表との対談の中で、開発状況について強い自信をみせた。
ARDSは国内で1万2000人程度の患者数がいるとされるが、最近は新型コロナウイルス感染で重症化した人の過半数が発症し、死亡原因となった。HLCM051の治験では、肺炎を原因疾患とするARDS患者30名を対象に治験中で、この治験に新型コロナ由来のARDS患者5名を追加で組み入れて実施。現在経過観察中だが、「手応えは非常に良い」(鍵本社長)という。
脳こうそく急性期を対象とした治験では、年末までに被験者の組み入れが完了する見込みだ。日本において脳血管障害は死因の第3位だが、助かった場合でも後遺症をもたらす可能性が高い。鍵本社長は「(HLCM051は)後遺症を格段に減らせる治療薬として期待される」とした。また、厚生労働省から通常1年かかる審査期間が最短6カ月まで短縮される「先駆け審査指定制度」の対象になっているが、朝倉代表は「それだけ期待と信頼が大きい」と指摘。鍵本社長は「有効な治療薬が少ないなかで、われわれの開発薬が一定程度の効果があると期待され、優遇策に値すると判断いただいた」と述べた。
一方、iPS細胞を用いた再生医薬品においては、iPS細胞の能力を引き上げ、好ましくない性質を抑えることができる遺伝子編集技術を用いた独自のプラットホーム“ユニバーサルドナーセル”、固形がんに効果が期待できるNK細胞や、視細胞の開発を進めている。死因の第1位であるがんの根本的な治療薬の開発により、「“生きる”(時間)を爆発的に増やす」(鍵本社長)。
朝倉代表は「資本基盤が弱いベンチャー企業が多いなか、ヘリオスは自己資本比率が高く、キャッシュも豊富で流動比率が高い。安心して見守れる」と評価。鍵本社長は「経営環境が変わるのは分かっており、それに対する準備を怠っているか否かの差だと思う」と応えた。
提供:モーニングスター社
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