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2020/10/1 17:30

米国株:郵便投票が大統領選に暗雲、市場は短期波乱局面も

 米大統領選挙は9月29日のオハイオ州クリーブランドでの大統領候補同士による第1回討論会を皮切りに、10月7日の副大統領候補の討論会、同15、22日の大統領候補による第2、3回討論会を経て、11月3日の投票日を迎える予定だ。ところが、既に始まっている郵便投票の存在が選挙の行方に暗雲をもたらしている。

 新型コロナウイルスの感染拡大につながる3密を避けるため、郵便投票の活用が大幅に増える見通しの中、有効票かどうか確認する作業に手間がかかるほか、慢性的赤字が続く米郵政公社の経費削減策として封書やはがきを仕分ける機械の廃棄が進んでいることから、結果判明に期間を要する可能性が強まっている。

 2000年の大統領選ではフロリダ州の結果が判明するまで期間を要し、最終的には選挙結果をめぐり法廷闘争(ブッシュ対ゴア事件)が展開され、連邦最高裁はフロリダ州全域での再集計を命じると同時に、憲法内で定められた期間内(「セーフ・ハーバー」期間)に再集計を終わらせることも要求したため、同年12月12日に作業途中のまま再集計が終了。ブッシュ候補の当選が確定した。

 今回のセーフ・ハーバー最終日は12月8日とされているが、多くの州が00年のフロリダ州と同様の事態に見舞われる懸念があるだけでなく、セーフハーバー期間で決着が付く保証もなく、00年を超える異常事態となることも懸念されよう。

 トランプ大統領は9月26日、連邦最高裁判事に保守派のバレット氏を指名し、「来るべき時」に備えているように見受けられる。また、11月10日には医療保険制度改革法(オバマケア)廃止か存続かの審理が連邦最高裁で開始される予定であり、大統領選の結果が出ないまま保守派増員を追い風に廃止の判決が出されるとすれば、政局は混迷の度を増すだろう。そのような事態となった場合、株式市場は短期的に波乱局面を迎える可能性があることに注意が必要だ。

(フィリップ証券リサーチ部・笹木和弘)

香港株:人民元レート上昇加速、香港H株に熱視線

 対米ドル人民元レートの上昇トレンドが加速している。9月17日、人民元の対米ドルレート(仲値)は1ドル=6.7675元と、前営業日より0.1500元上昇し、基準値としては19年5月以来およそ1年5カ月ぶりの元高水準となった。今年5月27日に12年3カ月ぶりの安値圏まで下落した人民元レートは、4カ月弱で約5%上昇した。

 米中対立が本格化した18年以降、米中関係が改善に向かえば元高、米中関係が悪化すれば元安にフレるという人民元相場の経験則が形成されていた。しかし、最近になって一転し、中国経済の急回復や米国のゼロ金利長期化観測が材料視され、中・長期的な元高の観測につながったとみられる。

 人民元高による恩恵は中国の債券投資にとどまることなく、香港H株にも熱い視線が注がれよう。香港H株とは、中国本土を登記地とし、香港で上場している中国本土企業である。H株は香港ドルで売買されるが、主要業務を元建て資産で展開することから、H株企業の業績は元建てで表示される。

 人民元高が進むと元建て資産価値も高まるため、H株指数がツレ高することがある。人民元に通貨バスケット制が導入された05年7月(1ドル=8.27元)以降を見ると、同時点から07年末ごろまで、および17年の約1年間は人民元高が進むと同時にH株指数が上昇していた。中華圏の主要指数の予想PER(9月23日終値基準)をみると、上海総合指数14.54倍、深セン総合指数24.58倍、ハンセン指数12.49倍、台湾加権指数18.35倍に対し、H株指数は9.24倍にとどまっている。

 銀行、保険、不動産関連が元高敏感業種として知られていることから、H株指数のうち、中国建設銀行(00939)、中国工商銀行(01398)など中国銀行セクターや華潤置地(01109)、サナック・チャイナ(01918)などの中国不動産セクターに投資妙味があろう。

(フィリップ証券リサーチ部・李一承)

(写真:123RF)

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