<新興国eye>カンボジア、新型コロナで消費者向け信用が半減

新興国

2020/10/9 10:57

 カンボジア信用機構(CBC)は、CBC四半期報告(20年第2四半期)により、第2四半期の消費者信用統計(Consumer Credit Index)を発表しました。CBCは、多重債務者を防止する目的で、金融機関から集めた信用情報を集積し、各金融機関の貸付審査にその情報を提供しています。この四半期報告では、消費者信用申請状況、消費者信用供与状況、消費者信用の不良債権情報などを取りまとめています。

 今回の報告では、消費者信用申請については、対前期比で、件数は50%減、金額は47%減と大きく減少しています。その内訳は、個人向け貸付が件数50%減、金額49%減、住宅ローンは件数51%減、金額39%減、クレジットカード利用は、件数43%減、金額44%減となっています。

 消費者信用供与状況では、消費者信用借入人数が、対前期比1.6%減の約127万人となっています。残高は、前期末比0.4%増の87億3000万ドル(約9170億円)となりました。

 不良債権比率は、前期の1.61%から2.64%に大幅に悪化しました。借入人の25.2%が複数の機関から借り入れを行っています。

 新型コロナの影響で返済に困っている借入人については、各金融機関が返済期限の延長等に応じていることもあって、不良債権比率は2%台にとどまっています。他方、新規貸付需要は急減しており、金融機関では、思わぬ「カネ余り」となっているところもあるようです。

 なお、こうした基礎情報が、定期的に公開されることは、金融セクターの健全性維持の観点からも重要性が高いものと見られます。

【筆者:鈴木博】

1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

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提供:モーニングスター社

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