お宝は目の前に!? 「国内小型株グロース」ファンドの中長期パフォーマンスが抜群
2020/10/21 18:31
株式や株式投信に投資をしていると「史上最高値更新」という言葉に強く反応してしまうものだ。今年になって、何度となく「史上最高値」を更新したのは、NASDAQであり、S&P500、NYダウなど、米国の代表的な株価指数だった。この印象が強烈だっただけに、「投資で収益を稼ぎたいなら、米国株式に投資しなければならない」という思いを強くしている人は少なくないだろうが、実際のパフォーマンスを調べると、過去1年間こそ北米株式のパフォーマンスが優れているが、過去3年、過去5年、過去10年ではトータルリターンのトップは国内小型グロースに属するファンドだった。
9月末基準で過去1カ月のパフォーマンスをランキングすると、国内公募投信(純資産10億円以上、ETF・DC・SMA専用を除く)でトップは「IPOリサーチ・オープン『愛称:リターン・エース』」(三菱UFJ国際)。以下、「社会課題解決応援ファンド」(大和アセットマネジメント)、「次世代ファンド『愛称:次世代』」(三井住友トラスト・アセットマネジメント」など、ランキング上位には国内小型グロースにカテゴライズされるファンドが並ぶ。
同様のランキングを過去1年でとると、トップ3は「FANG+インデックス・オープン」(大和アセット)、「iFreeNEXT FANG+インデックス」(大和アセット)、「グローバル・プロスペクティブ・ファンド『愛称:イノベーティブ・フューチャー』」(日興アセットマネジメント)と国際株式・北米(為替ヘッジなし)にカテゴライズされるファンドが並ぶ。この3ファンドとも過去1年でトータルリターンが2倍になっており、強烈なパフォーマンスの印象を残している。
ところが、さらに遡って、過去3年のトップは、「企業価値成長小型株ファンド『愛称:眼力』」(アセットマネジメントOne)、過去5年では「DIAM新興市場日本株ファンド」(アセマネOne)、そして、過去10年でも「DIAM新興市場日本株ファンド」と、いずれも国内小型グロースのファンドがトップに立つ。過去10年のトータルリターンのトップ10は全て国内小型グロースが占めている。
過去5年、過去10年でトップになった「DIAM新興市場日本株ファンド」は、10月20日時点の基準価額は12万1603円になっている。2007年11月29日の設定で、約13年間の運用実績があるが、年1回の決算で分配金を出し、直近の2020年4月に2000円の分配金を支払い、設定来累計分配金は1万9200円になった。この分配金を再投資して運用したとすると、9月末現在でトータルリターンは1997.36%と、投資元本が13年間で約21倍に増えたことになる。「DIAM新興市場日本株ファンド」は残念ながら、購入の申し込み受付が一時停止されているので、新規に投資することができない。
国内企業にとっては、少子高齢化が進む日本市場の縮小が重石となって成長期待と結びつかないところがあるが、個々の企業を良く調べていくと、高成長企業や着実な成長を遂げている企業が少なくない。たとえば、「DIAM新興市場日本株ファンド」の9月末時点の組入れトップ銘柄のメドレーは、医療系の人材プラットフォーム事業を主軸とし2020年12月期の予想営業利益は前期比2倍~4倍が見込まれている。今年は、コロナショックの影響で事業環境は大変厳しいものがあるが、その中にあっても「アフターコロナ」を見据えて、次の成長への準備を怠らない企業も少なくない。
折しも、アメリカではグーグルに対して独禁法違反の裁判が始まる見通しと伝えられている。これまでの米国株式市場をリードしてきたグーグル、アップル、アマゾンなどの巨大なIT企業は、今回グーグルが提訴された訴因になっている「独占的な地位を利用して公正な競争を妨げている」ということを同じように抱えているとされる。この裁判が、米国の巨大IT企業に与える影響は小さくないと考えられており、これまでのような一本調子の株高が続くとは安心していられなくなってきた。
過去の実績で大きな成長を実現してきた国内小型グロースについて、改めて検討してみたい。
提供:モーニングスター社
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