<新興国eye>トルコ10月CPI、前年比11.89%上昇―市場予想下回る
2020/11/5 10:55
トルコ統計局が4日発表した10月CPI(消費者物価指数、03年=100)は、前年比11.79%上昇と、9月の11.75%上昇から伸びが加速したものの、市場予想の11.90%上昇を下回った。
同国のCPI伸び率は18年10月に前年比25.24%上昇と、25%を突破したが、以降は政府のインフレ対策や中銀による大幅な金融引き締め政策により低下し始め、19年10月には8.55%上昇と、16年12月(8.53%上昇)以来2年10カ月ぶりの低水準となった。しかし、新型コロナウイルスのパンデミック(感染症の世界的流行)の悪影響が強まった5月はサプライチェーン(部品供給網)の寸断により、11.39%上昇と3カ月ぶりに加速に転じ、6月(12.62%上昇)まで2カ月連続で加速した。その後、パンデミックが一服し、サプライチェーンが回復したことを受け、7月は11.76%上昇と、3カ月ぶりに伸びが鈍化し、8月は11.77%上昇、9月も11.75%上昇と、ほぼ同じ伸びとなっている。
全体指数から値動きの激しい食品やエネルギーなどを除いたコアCPI(グループC)は前年比11.48%上昇と、9月の10.06%上昇から伸びが加速した。
政府が9月29日に発表した21-23年の新中期3カ年経済計画では、インフレ率の見通しは20年末時点が10.5%上昇、21年末時点は8.0%上昇、22年末時点は6.0%上昇とし、23年末時点で4.9%上昇を新たな目標とした。
他方、トルコ中央銀行は10月28日に発表した最新の四半期インフレ報告書で、20年末時点のインフレ見通しを12.1%上昇(予想レンジは11.1-13.1%上昇)とした。ただ、21年末時点のインフレ率は9.4%上昇(予想レンジは7.1-11.7%上昇)に伸びが減速すると予想している。
今回の四半期インフレ報告書では予測の前提となる輸入物価と食品物価の20年と21年の見通しをいずれも前回7月予想時点から加速方向に修正した。輸入物価は20年が5.9%低下(7月予想時点は6.2%低下)、21年は5%上昇(同3.3%上昇)、また、食品物価も20年が13.5%上昇(同10.5%上昇)、21年は10.5%上昇(同8%上昇)になると想定。輸入物価は中銀が通貨トルコリラの大幅下落を阻止できず、リラ安が進行したため、輸入物価が押し上げられている。リラはドルに対し、年初来で27%超下落している。
さらに、中銀はGDP(国内総生産)も4-6月期は前年比4.7%減(7月予想時点は6.4%減)、7-9月期は同1.8%減(同4.6%減)にそれぞれ改定した。原油価格については20年の1バレル当たり平均41.6ドル(7月予想時も41.6ドル)から21年には43.8ドル(同43.8ドル)に約5%上昇すると想定している。
<関連銘柄>
iS新興国<1362.T>、上場MSエマ<1681.T>
提供:モーニングスター社
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