米10月雇用統計、非農業部門雇用者数は前月比63.8万人増―市場予想上回る

経済

2020/11/9 9:01

<チェックポイント>

●民間部門が急増する一方、政府部門は急減

●失業率は6.9%―6カ月連続で改善

●平均時給、前月比0.1%増―市場予想下回る

 米労働省が6日発表した10月雇用統計で、非農業部門雇用者数は、前月比63万8000人増と、6カ月連続で増加し、市場予想の50万-58万人増を大きく上回った。ただ、新規雇用者数の増加ペースは4カ月連続で鈍化。新型コロナウイルスの1日当たり新規感染者数が10万人を突破し、累計感染者数も約970万人となり、経済活動が規制されていることなどが影響した。

 一方、過去2カ月(8-9月)の雇用者数は、9月が前月比66万1000人増から同67万2000人増に上方改定され、8月も同148万9000人増から同149万3000人増にそれぞれ上方改定された。

 10月非農業部門雇用者数の内訳は、民間部門が前月比90万6000人増と、9月の同89万2000人増(前回発表時は同87万7000人増)を上回り、4カ月ぶりに伸びが加速。一方、政府部門は連邦政府の国勢調査が終了したことや、多くの州政府で予算が削減されたこと、リモート学習の普及で教職員の採用が減少したことなどにより前月比26万8000人減と、9月の21万6000人減に続いて2カ月連続の大幅減少となった。

 業種別では、建設業や製造業に加え、パンデミックの影響を最も強く受けたサービス業、なかでもレジャー・接客業(主にレストラン・バーなどの飲食業)や専門・ビジネスサービス業、小売業、教育・ヘルス(健康サービス)業が引き続き大幅増となった。これらの業種だけで計76万1700人増となり、民間部門の84%を占めた。

 一方、失業率は6.9%と、9月の7.9%や8月の8.4%、7月の10.2%、6月の11.1%、5月の13.3%、第2次大戦後で過去最高となった4月の14.7%から6カ月連続で改善し、市場予想の7.7%も大きく下回った。ただ、新型コロナのパンデミック(感染症の世界的流行)前の2月の3.5%を依然大きく上回っている。

 また、いわゆる、広義の失業率(狭義の失業者数に仕事を探すことに意欲を失った労働者数と経済的理由でパート労働しか見つからなかった労働者数を加えた実質の失業率)は季節調整後で12.1%と、9月の12.8%から低下した。

 さらに、労働市場への参加の程度を示す労働参加率(軍人を除く16歳以上の総人口で労働力人口を割ったもの)も61.7%と、9月の61.4を上回り、労働市場の改善ペースが加速した。これは多くの労働者、特に女性が仕事を積極的に探し始めたことを示す。

 失業者数のうち、約29%に相当する320万人(9月は37%に相当する460万人)がパンデミックを受けた経済活動の自粛によって発生した「一時帰休による失業者」に分類されている。10月はこの一時帰休者数が9月に比べ140万人減少した。これはその分、経済活動の再開により、職場復帰したことを意味する。

 また、市場が注目していた賃金(平均時給)の伸びは、前月比0.1%増となり、市場予想の同0.2%増を下回った。平均時給の伸び悩みは、政府の追加景気刺激策がなければ、今後の個人消費の伸びを抑制する大きな要因となる。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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