海外株式見通し=米国、香港
米国株:ねじれ議会でドル安進行、暗号資産などフィンテック企業注目
米大統領選は民主党のバイデン前副大統領の当選が確実的な状況となった。議会上院はジョージア州の2議席が来年1月5日の決選投票に持ち込まれ流動的だが、上院で共和党、下院で民主党が多数派となる「ねじれ」の構図が続きそうだ。ねじれ議会では「ドル安の進行」および「規制強化政策の後退」の2点が想定される。
ねじれにより民主党が掲げる財政支出の大規模化が阻まれると、景気拡大が困難になり長期金利の上昇が抑えられる見通し。これがドル安観測の背景だ。多国籍のコングロマリット・製造業の復権の道につながるため、金や暗号資産(仮想通貨)は買われやすくなるだろう。
特に、モバイル決済大手のスクエア<SQ>のような暗号資産を取り扱うフィンテック(金融のIT化)企業に恩恵が及ぶとみられる。同業のペイパル.ホールディングス<PYPL>も暗号資産市場への参入を発表した。
規制強化政策が後退する理由としては、医療保険制度改革(オバマケア)の実施可能性が低下することが挙げられる。新型コロナウイルスワクチン開発への期待が高いファイザー<PFE>やジョンソン&ジョンソン<JNJ>などの医薬品・ヘルスケア企業が注目される。
トランプ大統領が主張する大統領選の郵便投票不正などに係る法廷闘争は、訴えが棄却された場合も上訴できることから投票の結果確定に時間がかかるリスクが残る。11月10日には信用格付け会社のムーディーズが、法廷闘争に伴う市場の不安定化と社会緊張の高まりが米経済回復に打撃を与える旨の警告を発した。
それでも、来年1月20日に始まる次期大統領の任期は揺るがないと考えられることから、仮に市場が混乱したとしても、来年以降を見据えた長期投資の観点では買い好機と言えよう。
(フィリップ証券リサーチ部・笹木和弘)
香港株:中国EV市場「影の主役」、〝ナマズ効果〟で新興メーカーも躍進
世界のEV(電気自動車)市場の主役が米国のテスラ<TSLA>だとすれば、EVの性能とコストを左右する車載電池(バッテリー)世界大手の中国・寧德時代新能源科技(CATL<300750>)は影の主役に位置付けられる。同社の昨年の車載用リチウムイオン電池の出荷量は、世界首位の32.5ギガワット (シェア27.9%)を誇る。
同社以外には、BYD<1211>、遠景(AESC)、国軒高科、中航鯉電(CALB)などの中国メーカーも世界10位内に付けている。バッテリー市場を日中韓の3カ国が寡占する中、CATLをはじめ中国企業が国策支援の追い風を受ける。
中国自動車工業協会(CAAM)によると、今年9月の新車販売台数は前年同月比12.8%増の256.5万台と5カ月連続で2ケタの伸びを示した。うち、EVなど新エネルギー車は同67.7%増の13.8万台だった。中国ではBYDのEV累計販売台数がテスラを追い抜いたほか、ニオ<NIO>、理想<LI>、小鵬<XPEV>など新興勢力が躍進している状況だ。
ドジョウの水槽の中に天敵のナマズを一匹入れることで、ドジョウたちがナマズから逃げようと泳ぎ回り、結果として鮮度が保たれる現象を「ナマズ効果」という。EVメーカーが乱立する中、中国政府はテスラの参入を積極的に促し、テスラの中国工場産EVを国内メーカーと同様に補助金の対象とした。テスラをナマズに見立て、市場に活発な新陳代謝をもたらしたことで同社と渡り合えるニオなどが育った点は評価されよう。
(フィリップ証券リサーチ部・李一承)
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(写真:123RF)
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