コロナ禍で老後拠出額は毎月6428円増額し4.5万円に=スパークスの夫婦のマネー事情調査
2020/11/13 7:51
スパークス・アセット・マネジメントは11月12日、夫婦の金銭事情や投資に対する意識を調査する「スパークス・サーベイ 夫婦のマネー事情と夫婦円満投資に関する調査 2020」の結果を公表した。調査期間は2020年10月16日-17日の2日間で、昨年の同様の調査と比較して、コロナ禍における夫婦のマネー事情が色濃く反映した調査結果になった。特に、老後の生活資金の確保については、2019年に平均で3万8434円だった拠出額が今年は4万4862円と6428円も増加した。増加幅が最も大きかったのは50代で前年から9397円も増加しており、コロナ禍という経験したことがない社会の変調に遭遇し、将来への備えを手厚くしたいという意識が高まっていることがわかる。
調査は、インターネット調査で、20代から60代以上まで10歳刻みで男女各100名からの回答を合計1000名分集めた。「今年の家計」を表す漢字について「苦」が92票を集めて最多となり、コロナ禍が家計を圧迫していることがうかがわれたが、第2位が「平」(57票)、第3位が「普」(53票)、第4位が「並」(47票)など、家計が安定していることがうかがえる回答も少なくなかった。
様々な内容について回答を求めたアンケートの中で、興味深かったのは、「夫婦の老後に備えるためのお金を毎月確保できていますか」という問いに対する答え。「確保できている」という人の割合は、全体で74.1%で、前年(2019年)の72.5%から1.6%ポイント向上した。コロナ禍で生活にマイナスの影響があるという回答が41.5%(うち、非常に影響があるは12.6%)を占めているにもかかわらず、老後への備えは充実させているという回答だった。しかも、老後に備える資金の平均は前年から増額した。
中でも50代の人たちは、老後に備えるお金を確保できている人の割合は、前年の77.0%から70.5%へと減少しているにもかかわらず、老後の備えとして確保している資金は毎月4万334円から、今年は4万9731円へと9000円以上も増額している。家計のやりくりは厳しくなっているものの老後への備えは充実させている。老後の生活不安が切実に感じられていることがうかがえる。
ただ、「今後、老後の生活資金のために金融投資をしたいと思いますか」という問いに対しては、「そう思う」が36.7%にとどまった。3人に2人は「そう思わない」という回答だった。「そう思わない」という回答は女性に多い(女性の「そう思う」の平均は26%)。そして、「金融投資をしたい」と考える人に、「どのような金融資産に投資したいですか」と聞いたところ、複数回答で「日本株式」が59.7%、「投資信託(REIT以外)」が40.9%、「外国株式」が24.0%という回答だった、「REIT」は5.7%で「仮想通貨」(5.4%)と変わらないくらいだった。
ここで、「日本株式」や「外国株式」と回答している人が、いわゆる「生株(なまかぶ)」を買うよりも、分散投資できる「投資信託」の方が損をする確率を低くできるということを理解していただいているのだろうか? むしろ、「日本株式」と回答している人の意識の中で、「日本株式=日本株式に投資する投資信託」と置き換えられていれば良いと感じるが、おそらく、回答者のイメージとしては、「日本株式」とは「トヨタの株式」や「ソフトバンクの株式」を意識しているのだろう。「投資信託」の資産としての利便性について、より広く伝えていく必要が依然として強いと感じられる。
最後に、この調査で面白い結果が出ているのは、「夫婦で一緒に考えて投資をしている金融資産がある夫婦は円満」ということだ。アンケートの結果、夫婦で一緒に考えて投資している金融資産がある人は27.6%。この投資資産(複数回答)は「日本株式」が65.9%、「投資信託」が39.5%、「外国株式」が11.2%という結果だった。そして、「夫婦で一緒に考えて投資をすることのメリットだと感じることは」という問いには、「夫婦の会話が増える」が40.6%でトップ。次いで、「悩んだときにすぐ相談できる」(28.3%)、「夫婦仲が良くなる」(25.0%)だった。この結果を踏まえると、夫婦で投資や資産運用について一緒に考えることが、夫婦円満の秘訣のひとつになるといえるだろう。
提供:モーニングスター社
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