米10月住宅着工件数、前月比4.9%増の153万戸―市場予想上回る

経済

2020/11/19 10:07

<チェックポイント>

●主力の一戸建てが6カ月連続増加―アパートは減少

●許可件数、前月比横ばい―市場予想下回るも高水準を維持

●一戸建て完成件数、減少に転じる

 米商務省が18日発表した10月住宅着工件数(季節調整値)は年率換算で前月比4.9%増の153万戸と、9月の同6.3%増(改定前は1.9%増)から2カ月連続の増加となり、新型コロナウイルスのパンデミック(感染症の世界的流行)前の2月(156万7000戸)以来8カ月ぶりの高水準となった。市場予想の144万5000-149万戸に対しても大幅に上回った。

 今回の統計でも9月と同様、リモートワーク志向を反映し、居住スペースが大きい一戸建てが堅調となった一方で、多くの世帯が入居するアパートは敬遠された。一戸建ての着工件数は全体の77%と、9月の76%を上回り、10年ぶりの大きなシェアとなっている。

 着工件数の内訳は、月ごとに変動が激しいアパート(5世帯以上)が前月比3.2%減の33万4000戸と、9月の同4.5%増から減少に転じた。一方、主力の一戸建ては同6.4%増の117万9000戸と6カ月連続で増加、パンデミック前の2月時点の103万4000戸を14.5%上回り、住宅購入需要が強いことを示している。

 また、一戸建ての地域別の着工件数は、全体の約6割を占める南部が前月比6.7%増の68万2000戸と2カ月連続で増加し、09年11月(68万9000戸)以来約11年ぶりの高水準となった。全体の約2割を占める西部も同4.4%増の28万7000戸と、5カ月連続で増加、中西部は同22%増の15万5000戸と9月の同19.6%減から増加に転じた。

 過去の着工件数の改定値は8月が前回発表時の138万8000戸から137万3000戸と下方改定となったが、9月は141万5000戸から145万9000戸と上方改定。2カ月合計では2万9000戸の大幅な上方改定となった。

 先行指標である住宅建築許可件数は、アパートが減少したものの、一戸建てが前月比で0.6%増となったことで、全体では前月比横ばいの154万5000戸となった。市場予想の155万-157万戸を下回ったが、パンデミック前の1月の153万6000戸を上回り、高水準となっている。

 一方、一戸建ての完成住宅件数は前月比3.4%減の88万3000戸と、9月の同2.1%増の91万4000戸から減少に転じた。バックログ(建築許可が下りたあと、未着工となっている件数)は一戸建てが同1%減の10万4000戸と、4カ月ぶりに減少したが、08年2月(10万5000戸)以来12年8カ月ぶりの高水準を維持している。

 他方、一戸建ての建築中件数は前月比4.3%増の56万4000戸と、5カ月連続の増加となったが、アパート(5世帯以上)は同1.1%減の65万戸となったことから、10月全体では同1.2%増の122万4000戸となった。

 市場では、新型コロナの感染再拡大で多くの州で外出制限など経済活動が抑制されたことで労働形態がオンラインで日常業務のコミュニケーションを行うテレワークにシフトし、住宅購入需要が一段と増えたこと、さらに住宅ローン金利が過去最低水準にあることから、10月の着工件数も堅調を維持すると予想していた。11月以降の着工件数についても回復傾向が続くと楽観的に見ている。

関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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