<新興国eye>20年1-9月のカンボジア自転車輸出は好調

新興国

2020/11/20 15:08

 カンボジア商業省によりますと、20年1-9月のカンボジアからの自転車輸出金額は、対前年同期比28.9%増の3億7900万ドル(約390億円)に達したとのことです。20年通年の輸出額が、19年の通年実績4億1250万ドルを超えるのは確実と見られます。

 20年1-9月の輸出台数は、150万台を突破しています。輸出先国別には、米国約55万台、ドイツ約36万台、英国約27万台、ベルギー約15万台、オランダ約9万台、オーストラリア約10万台などとなっています。EU(欧州連合)への自転車の輸出国は、台湾を抜いて17年以降はカンボジアが第1位となっています。20年8月のEUの特恵関税制度(武器以外の全品目の無税化)である「EBA」の資格停止が懸念されましたが、自転車は引き続き特恵関税対象となっており、影響を受けていません。

 20年上半期の輸出総額は、対前年同期比約3%増の70億1000万ドル(約7360億円)となっています。上半期の自転車輸出額は2億4170万ドルでした。カンボジアからの主要輸出品目は縫製品ですが、自転車輸出のシェアは3.4%にまで高まってきています。

 カンボジアでの自転車生産は、台湾系企業がメインで、ベトナム国境近くのバベットの経済特区に複数の工場があります。また、中国系企業が自転車生産を中国からシフトさせる動きも進みつつあります。新型コロナの影響により、自転車の輸出市場である先進諸国では3密を避ける観点から自転車通勤などが見直されており、需要が拡大しているとの見方もあります。カンボジアが、台湾や中国などからの投資を集めて、自転車生産を増大させていくことも期待されます。

【筆者:鈴木博】

1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

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提供:モーニングスター社

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