テックポイント、20年12月期は増収増益へ―コロナ禍の中でも着実にシェア拡大

株式

2020/11/26 9:04

 テックポイント・インク<6697.T>は監視カメラ、車載カメラ向け半導体の設計、開発、販売を手掛けるファブレス(工場を持たない)メーカー。国内をはじめ中国、韓国、台湾メーカー向けに、製品の供給を行っている。同社製品の性能には定評があり、新型コロナウイルス感染拡大の中でもシェアは拡大し、今2020年12月期決算は増収増益になる見通しだ。

 同社はファブレスメーカーとして製品開発に注力することで、半導体の小型化、映像の高解像度化、低コスト化を実現している。さらに、独自のHD(高精細度ビデオ)解像度クラスの映像送受信規格「HD-TVI」は安価で配線が容易なアナログケーブルを使いながら、高精細なハイビジョン映像を伝送できるため、システム価格を低減できる点が強みだ。

 監視カメラ、車載カメラは同じ技術で対応できることから、両分野で同社製品は既に多くの採用実績がある。ただ、今期は監視カメラ向け半導体が北米、南米、中東、インドのカメラ完成品市場で落ち込み、第3四半期累計では前年同期比34.5%減少した。そのため、第3四半期累計決算(米国基準)(1-9月)は連結売上高22億307万円(前年同期比4.5%減)、営業利益4549万円(同65.5%減)となった。

 ただ、コロナ禍の中でも、「ドライブレコーダー、リアカメラなど車載カメラ向け半導体は好調に推移し、シェアは着実に拡大している」(小里文宏社長)という、第3四半期累計における車載カメラ向け半導体の売上高は前年同期比53.3%増と急増した。さらに、車載機器市場の景況回復を受け、受注済み案件が軒並み量産に移行したことから、第4四半期(10-12月)の同分野の売上高は前四半期比約30%増となる見通しだ。

 また、監視カメラについても第4四半期は前四半期比3倍増と急回復しシェアも拡大する観測となっている。こうした状況を受け、通期業績は売上高34億1977万円(前期比0.9%増)、営業利益2億7212万円(同7.4%増)を見込む。第3四半期累計決算の減収減益から一転して増収増益になる予想だ。

 今後に関しても、監視カメラ、車載カメラの市場は将来的にも拡大が続くとみられ、特に車載カメラの拡大余地は大きい。加えて、「半導体やソフトウエアの開発エンジニアを積極採用するとともに、新規開発に力を入れている」(小里社長)ことで、将来的な成長力強化を図っている。

 ここ数年は「CMOSイメージセンサー」の開発に注力。同製品の自社開発を実現すれば、カメラシステムにおける重要部品をすべて同社が供給する「トータル・ソリューション」が可能になる。「CMOSイメージセンサー」は近く評価用サンプル品を出荷し、来期の下半期には収益に貢献する予定。

 そのほか、ドアフォン用半導体製品、魚眼補正機能・WDR機能搭載ISP(Image Signal Processing)、音声対応のTxおよびRx用半導体製品、液晶ディスプレーコントローラーの開発も進めており、来期以降の業績寄与が期待される。

提供:モーニングスター社

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