米11月住宅着工件数、前月比1.2%増の154.7万戸―市場予想上回る

経済

2020/12/18 11:01

<チェックポイント>

●一戸建て伸び鈍化でも7カ月連続増―アパートは大幅増

●許可件数、前月比6.2%増―約14年ぶりの高水準

●一戸建て完成件数、2カ月連続で減少

 米商務省が17日発表した11月住宅着工件数(季節調整値)は、年率換算で前月比1.2%増の154万7000戸と、2月(156万7000戸)以来9カ月ぶりの高水準となり、市場予想の153万-154万戸を上回った。増加は3カ月連続。10月の同6.3%増(改定前は4.9%増)から伸びは鈍化したが、過去最低水準の住宅ローン金利と新型コロナウイルスの感染拡大によるリモートワーク志向で、住宅購入需要が強いことを示した。

 今回の統計でも10月と同様、リモートワーク志向を反映し、居住スペースが大きい一戸建てが堅調となった。着工件数の内訳は、主力の一戸建ては同0.4%増の118万6000戸と、10月の同7.7%増から伸びが鈍化したが、7カ月連続で増加し、パンデミック(感染症の世界的大流行)前の2月時点の103万4000戸を14.7%上回った。一方、月ごとに変動が激しいアパート(5世帯以上)は前月比8%増の35万2000戸と、10月の同2.7%減から増加に転じており、着工件数に対する一戸建てのシェアは77%と、10月から変わらなかった。

 地域別でみた一戸建ての着工件数は、全体の約6割を占める南部が前月比3.1%減の66万1000戸と、3カ月ぶりに減少したが、全体の約2割を占める西部は同12.7%増の32万9000戸と、6カ月連続で増加した。中西部は同9.3%減の13万7000戸と、10月の同19.8%増から減少に転じた。北東部は同5.4%増の5万9000戸と、10月の同16.4%減から増加に転じた。この結果、アパートを加えた全体では、北東部は同58.8%増と、大幅に増加し、西部も同8.2%増となったが、南部は同6.0%減、中西部も同4.9%減となった。

 過去の着工件数の改定値は9月が前回発表時の145万9000戸から143万7000戸と、2万2000戸の下方改定となった。10月も153万戸から152万8000戸と、2000戸の下方改定となった。この結果、2カ月合計では2万4000戸の大幅な下方改定となった。

 先行指標である住宅建築許可件数はアパートが前月比22.8%増と、大幅に増加し、一戸建ての同1.3%増の弱い伸びを補完し、全体で前月比6.2%増の163万9000戸となった。市場予想の155万-157万戸を上回り、06年9月(165万5000戸)以来14年2カ月ぶりの高い伸びとなっている。

 許可件数の内訳は、一戸建てが前月比1.3%増の114万3000戸と、7カ月連続で増加し、07年3月(114万7000戸)以来13年8カ月ぶりの高水準となった。アパート(5世帯以上)は同22.8%増(10月は同7.5%減)の44万1000戸と、増加に転じた。

 一戸建ての完成住宅件数は前月比0.6%減の87万4000戸と、2カ月連続の減少となった。アパート(5世帯以上)が同34.6%減となったため、全体では同12.1%減の116万3000戸となった。バックログ(建築許可が下りたあと、未着工となっている件数)は一戸建てが同0.9%増の10万7000戸と、5カ月連続で増加し、依然、08年1月(10万8000戸)以来12年10カ月ぶりの高水準となっている。

 他方、一戸建ての建築中件数は前月比3.9%増の58万9000戸と、6カ月連続の増加となった。アパート(5世帯以上)も同0.5%増の65万5000戸となったことから、11月全体では同2.0%増の125万4000戸となった。また、10-11月の月平均の建築中の件数(124万2000戸)は7-9月期の月平均(120万7000戸)を2.9%上回り、21年1月28日発表予定の10-12月期GDP(国内総生産)速報値の住宅投資部門を押し上げる見通しだ。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>、

提供:モーニングスター社

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