<新興国eye>ロシア中銀、政策金利据え置き―21年末まで金融緩和維持へ

新興国

2020/12/21 10:38

 ロシア中央銀行は18日の理事会で、市場予想通り主要政策金利である資金供給のための1週間物入札レポ金利と資金吸収のための1週間物入札預金金利をいずれも過去最低水準の4.25%に据え置くことを決めた。これにより、新型コロナウイルスのパンデミック(感染症の世界的大流行)による経済への悪影響を抑制し、景気回復を引き続き支援する。

 中銀は20年4月会合で、20年のロシア経済が新型コロナ危機により急激に悪化する見通しとなったことを受け、景気刺激のため2カ月ぶりに利下げを再開。6月会合でも4-6月期のロシア経済が大幅なマイナス成長となる見通しから、2会合連続で利下げを決め、金利水準は14年後半に物価目標を導入して以降で最低水準となった。その後も7月会合で3会合連続で利下げしたが、9月会合で過去3回の利下げ効果を見るため現状維持に転換した。据え置きは3会合連続となる。

 中銀は政策金利を据え置いたことについて、「新型コロナによる経済活動の自粛や労働力不足で企業の生産コストが上昇するなど供給サイドのインフレ加速要因が景気減速によるディスインフレ(物価上昇率の鈍化)要因を相殺し、インフレ率は20年末時点で4.6-4.9%上昇に伸び加速する」とし、前回10月会合時に懸念を示していたディスインフレリスクが後退したことを指摘した。

 11月のインフレ率は前年比4.4%上昇と、前月(10月)の同4.0%上昇を上回り、12月14日時点でも推定で同4.7%上昇と、物価目標の4%上昇を超えている。

 今後のインフレ見通しについては、「われわれの最新の中期経済予測によると、現在の(緩和的な)金融政策スタンスを考慮すれば、インフレ率は21年に3.5-4.0%上昇となり、その後は4.0%上昇近辺で落ち着く」としている。

 ディスインフレリスクの見通しについても、「短期的にインフレ加速要因が強まっていることや、期待インフレ率が高まっている中で、インフレ加速リスクが長引いていることを考えれば、21年のディスインフレリスクは以前ほど大きく広がらない」と楽観的に見ている。

 金融政策の見通しについては、「20年のロシアのGDP(国内総生産)は4.0%減に落ち込む見通しだが、21年春から新型コロナウイルスの感染状況は(感染急拡大から)正常に戻り、それとともにロシア経済も回復し始める」とした上で、「(現在の)金融緩和政策は21年末まで経済を支援し続ける」とし、21年末まで金融緩和スタンスを維持する考えを示した。ただ、「今後の経済と物価の動向を注視し、追加利下げの必要性について検討する」と、引き続き将来の再利下げに含みを持たせた。

 これより先、エルビラ・ナビウリナ中銀総裁は11月25日、下院で開かれた公聴会で、金融政策の見通しについて、「ロシア経済が経済予測の標準シナリオ通りに推移すれば、21年末まで金融緩和を維持する」とした上で、「金融政策の正常化に向けた中立的な金融スタンスを22年から開始する」と証言し、21年末まで利下げを含め、金融緩和を維持する考えを示している。また、同総裁は追加利下げの余地についても、「われわれは金融政策を正常化させる能力がある」とした上で、「政策金利(現在4.25%)はゼロ金利から大きく離れており、追加利下げ余地について話せる機会はまだある」とし、金融緩和の能力があることを強調している。

 中銀は景気見通しについて、20年の成長率見通しを4.0%減と、前回会合時の4-5%減から改善方向に修正した。

 次回の金融政策決定会合は21年2月12日に開かれる予定。

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