海外株式見通し=米国、香港
米国株:政局波乱は押し目買い好機
新年早々、米国では大きな政治イベントが目白押しだ。まず、5日にジョージア州で上院の2議席をめぐる決選投票が行われた。仮に民主党候補が2議席を占めて米上下院および大統領ともに民主党が制した場合、公約に掲げている増税のリスクが市場で意識される。
次に、6日開催予定の上下両院合同会議も大きな懸念材料として浮上してきた。同会議で行われる開票作業は、通常であれば既に一般投票を受けた選挙人団投票によって当選が確定しているバイデン氏の大統領就任を追認するだけの単なる儀式にすぎない。
ところが、今回は激戦州を含む7州について、共和党が独自の選挙人団による選挙結果を連邦議会に提出。さらに、共和党の上院議員十数名がバイデン氏の大統領選挙の結果に疑義があると主張している。投票結果の開票・認定に反対すると同時に、選挙不正主張を検証する委員会の設置を議会に求めたことから波乱含みだ。
歴史をさかのぼると、1876年の米大統領選でティルデン民主党候補が一般選挙でヘイズ共和党候補を破り、選挙人投票でも184票を獲得してヘイズ氏の165票を上回ったが、未集計だった20票に係る四つの州から複数の選挙報告が提出され、次期大統領が決まらない「選挙危機」が生まれた。
これを打開するために議会に設置された「15人委員会」は、「1877年の妥協」と引き換えに問題票をすべてヘイズ票としたとされている。この危機の背後で、ヘイズ氏が大統領に就く代わりに南部開発事業への政府支出をはじめとした民主党の多くの要求が認められた。
上下両院合同会議の結果がどうあれ、今月20日が次期大統領就任の日であることに変わりない。投資家目線では、短期的波乱による押し目買いの機会の提供があるとすれば千載一遇のチャンスとして歓迎したい。
(フィリップ証券リサーチ部・笹木和弘)
香港株:曲がり角を迎えた中国不動産市場
21年のマクロ経済政策の方針を定める中国共産党の中央経済工作会議では、中国経済をめぐる諸課題に対応するための経済運営方針として、「大都市で突出した住居問題の解決」が取り上げられた。これは、不動産価格上昇を抑制することを意味するものとして注目に値する。
20年11月の主要経済統計によると、固定資産投資は年初からの累計で前年同期比2.6%増となり、10月までの累計(1.8%増)から伸びが加速。約25%を占める不動産開発投資が同6.8%増と全体をけん引した。
不動産調査会社の易居研究院によると、中国商業銀行における住宅ローン向け貸出残高の総貸出残高に占める割合が16年1~9月期の42.4%から20年1~9月期には27.2%へ低下した。同じ期間の住宅ローン残高の純増額は前年同期比3.7%減の4.4兆元だった。当局による不動産引き締め策が相次いだこともあり、20年10月の主要100都市の新築物件在庫面積は前年同月比8.1%増と23カ月連続で広がった。
中国人の戸籍が農村戸籍と都市戸籍に分けられ、農村から都市への移動が厳しく制限される中、政府は14年に発表されたガイドライン「新型都市化計画(14~20年)」に基づき農村部住民に都市戸籍を与える「人の都市化」を推進している。国家発展改革委員会によると、19年の常住人口ベース都市化率が60.6%で、都市戸籍率が44.4%だった。「新型都市化」により両者のカイ離は縮小するものとみられる。都市部人口増に伴い、賃貸住宅市場、および福祉目的の社会保障性住宅の拡充が急務となり、不動産開発企業もストックビジネス型の事業モデルへの転換を迫られる。
(フィリップ証券リサーチ部・李一承)
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(写真:123RF)
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