米20年12月雇用統計、非農業部門雇用者数は前月比14万人減―8カ月ぶりの減少

経済

2021/1/12 9:34

<チェックポイント>

●失業率は11月から横ばいの6.7%―市場予想下回る

●一時帰休者が増加に転じる―感染拡大受け職場復帰できず

●平均時給、前月比0.8%増―11月は同0.3%増

 米労働省が8日発表した20年12月雇用統計で、非農業部門雇用者数は前月比14万人減と、20年4月以来8カ月ぶりに減少に転じた。市場予想コンセンサスの5万人増を大きく下回った。

 一方、過去2カ月(20年10-11月)の雇用者数が改定された。10月は前回発表時の前月比61万人増から同65万4000人増、11月も同24万5000人増から同33万6000人増と、いずれも上方改定された。

 12月の非農業部門雇用者数の内訳は、民間部門が前月比9万5000人減と、20年4月(1983万5000人減)以来、8カ月ぶりに減少した。市場予想の同10万人増を大きく下回った。他方、政府部門は連邦政府の国勢調査が終了したことや、多くの州政府で予算が削減されたこと、リモート学習の普及で教職員の採用が減少したため、前月比4万5000人減と、4カ月連続の大幅減少となった。

 業種別では、建設業と製造業は堅調だったが、パンデミックの影響を最も強く受けたサービス業で急減が目立った。なかでもレジャー・接客業(主にレストラン・バーなどの飲食業)と教育・ヘルス(健康サービス)業が大幅減少した。

 市場では今後、新型コロナワクチンの普及により、春から夏にかけて雇用回復ペースは速まるとみているが、それでも21年の非農業部門雇用者数は月平均40万人増にとどまるとみている。また、のクラリダFRB(米連邦準備制度理事会)副議長は8日の講演会で、「12月の雇用者数減少はつまずきだが、雇用の弱さが21年に入っても続くことはない」と楽観的な見方を示している。

 一方、失業率は6.7%と、11月から横ばい、市場予想の6.8%を下回ったものの、20年4月の14.7%から7カ月連続低下でストップした。広義の失業率(狭義の失業者数に仕事を探すことに意欲を失った労働者数と経済的理由でパート労働しか見つからなかった労働者数を加えた、実質の失業率)は、季節調整後で11.7%と、昨年の11月の12.0%低下した。

 労働市場への参加の程度を示す労働参加率(軍人を除く16歳以上の総人口で労働力人口を割ったもの)も61.5%と、20年11月から横ばいだった。

 一時帰休者数は前月に比べ27万7000人増加(11月は前月比46万9000人減少)した。

 市場が注目していた賃金(平均時給)の伸びは、前月比0.8%増と、11月の0.3%増と市場予想の0.2%増を上回った。特に、教育・ヘルスサービス業が同1.2%増と、高い伸びを示した。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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