<新興国eye>ルーマニア中銀、市場予想に反し利下げを決定

新興国

2021/1/18 11:06

 ルーマニア国立銀行(中銀)は15日の金融政策決定会合で、市場予想に反し、主要政策金利である1週間物レポ金利を0.25ポイント引き下げ、1.25%とすることを決めた。

 また、中銀は主要政策金利の±1.00ポイントのレンジの上限にあたる市中銀行に資金供給するためのロンバート型貸出金利を1.75%、下限にあたる資金吸収のための預金金利を0.75%と、いずれも同率引き下げた。新金利は18日から実施される。

 中銀は18年7月から20年2月まで14会合連続で政策金利を据え置いたが、その後、新型コロナウイルスのパンデミック(感染症の世界的大流行)による国内経済への悪影響が懸念されたことから、20年3月20日の緊急会合で政策金利を0.50ポイント引き下げ、5月会合と8月会合でも各0.25ポイント引き下げた。前回11月会合では据え置きを決めていた。

 また、中銀は前回会合で、金融システム内の流動性を適切に管理するため、市中銀行が中銀に預ける預金準備率については、自国通貨建ての預金準備率を8%に据え置く一方で、外国通貨建ての預金準備率をECB(欧州中央銀行)や欧州各国の中銀との足並みを揃えるため、1.00ポイント引き下げ、5.00%としたが、今回の会合ではいずれも据え置かれた。

 中銀は会合後に発表した声明文で、利下げを決めたことについて、「20年の11月と12月のインフレ率はそれぞれ前年比2.14%上昇、同2.06%上昇と、鈍化傾向を示し、物価目標の中心値(2.5%上昇)を下回っている」「21年の1月と2月のインフレ率はやや上昇する見通しだが、金融政策が波及する一定の期間内には物価目標の中心値に接近するとの予測に合致している」とし、インフレが抑制されているとの見方を示した。

 ただ、「新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の制限や、ワクチン接種の効果が出てくるまで欧州各国の景気回復が遅れることなどを考慮すると、インフレ見通しのリスクや不確実性はかなり大きい」、「こうした不確実性の高まりに配慮し、利下げを決めた」としている。また、「利下げ効果が経済に及ぶまでには時間差があることを考慮すると、インフレ率を中期的に高めて、金融政策が波及する一定の期間内に物価目標の2.5%上昇に合致する可能性は高い」との見解も明らかにしている。

 ルーマニア経済は、20年7-9月期GDP(国内総生産)は前年比5.7%減と、前4-6月期の同10.3%減から改善した。7-9月期の落ち込みは農業の不振が大きな要因だが、農業を除いた同期の伸び率は同3.2%減だった。

<関連銘柄>

 iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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