<新興国eye>マレーシア中銀、政策金利を据え置き―利下げ余地を温存

新興国

2021/1/21 11:00

 バンク・ネガラ・マレーシア(中銀)は20日の金融政策決定会合で、政策金利である翌日物政策金利(OPR)を過去最低の1.75%に据え置くことを決めた。市場予想通りだった。新型コロナウイルスのパンデミック(感染症の世界的大流行)の勢いが再び強まり、ロックダウン(都市封鎖)が導入される中、過去4回の利下げが景気を刺激しているとして、今回の会合で利下げを見送り、将来の景気悪化に備え、利下げ余地を温存した。

 中銀は20年1月会合で「物価安定と経済成長の上昇軌道を確実にするための予防的措置」として、8カ月ぶりに利下げを再開したが、パンデミックが始まった3月に0.25ポイントの追加利下げを実施。その後も5月と7月にも4会合連続で利下げし、利下げ幅は計1.25ポイントに達している。金利据え置きは9月以降、3会合連続。04年の統計開始以降で過去最低水準となっている。

 政策金利を据え置いたことについて、「マレーシア経済は世界需要と官民両セクターの消費支出の回復、さらには新型コロナワクチンの接種開始により、21年4-6月期から回復が予想される」とした上で、「今の金融政策スタンスは適切で、かつ、金融緩和的となっている」と述べた。

 景気回復の見通しについては、「20年10-12月期の景気回復は部分的な経済活動の規制再導入の悪影響を受けたため、20年全体の成長率は当初の経済予測の下限近くとなる。しかし、21年はそうした悪影響が弱まり、4-6月期から経済活動は改善する」とやや楽観的な見方を示した。

 ただ、「パンデミックの見通しが不透明なことを考えると、新しいデータやインフレと景気の見通しによって、金融政策が決められる」とした上で、「景気回復を持続させることを可能にする環境を作るため、適切な金融政策手段を講じることにコミットする(積極的に関わる)」とし、今後、大きな変動が起きた場合、金融緩和を一段と強める可能性を示唆した。

 次回の会合は3月4日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 ブルサKLC<1560.T>、iSエマジン<1582.T>、アセアン50<2043.T>、

 アジア債券<1349.T>、iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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