<新興国eye>インドネシア中銀、政策金利を据え置き―市場予想通り

新興国

2021/1/22 12:56

 インドネシア中央銀行(BI)は21日の理事会で、引き続き景気を支援するため、主要政策金利の1週間物リバースレポ金利を過去最低水準の3.75%に据え置くことを決めた。市場予想通りだった。

 過剰流動性を吸収するための翌日物預金ファシリティー金利(FASBIレート)も3.00%、翌日物貸出ファシリティー金利も4.50%と、いずれも据え置いた。

 中銀は新型コロナウイルスのパンデミック(感染症の世界的大流行)による景気悪化を受け、景気回復を支援するため、20年2月から利下げを再開。7月まで4会合連続の利下げを決めた。8月は据え置きに転換。10月まで3会合連続で現状維持を決めたが、国内経済が2期連続でマイナス成長となったため、11月会合で7月以来、4カ月ぶりに0.25ポイントの利下げに踏み切った。利下げ幅は計1.25ポイントに達したことから、利下げ効果を見るため、前回12月会合で据え置きに転じた。

 中銀は政策金利を据え置いたことについて、「インフレが低下する見通しや外部環境(通貨ルピア相場)が引き続き落ち着いていること、さらに景気回復を支援する措置を考慮して現状維持を決めた」とし、20年だけで5回の利下げや為替相場の安定策、コロナ感染拡大で規制された経済活動の再開、政府の景気刺激策などのさまざまなシナジー(相乗)効果が現れてきているとの見方を示した。

 ポリシーミックスの一環として、中銀は20年7月初め、総額903兆4600億ルピア(約6.7兆円)の新型コロナ危機対策費を政府と共同で負担するため、397兆5600億ルピアの新発国債の直接引き受けを含め、全体の6割超にあたる574兆4000億ルピアを負担することで合意し、年間で約473兆4200億ルピア相当のSBN(短期国債)を買い取った。21年は1月19日までに新たに13兆6600億ルピア相当のSBNを買い取ったとしている。

 その上で、中銀は今後の金融政策について、「景気回復を一段と促進するため、中銀は今後も金融緩和のマクロ・プルーデンス政策(金融システムの安定を目指した政策)を継続する。政府やKSSK(金融システム安定委員会)、金融業界、経済界との政策協調によるシナジー効果を強めていく」とした。中銀はSBNの買い入れを通じ、政府の20年度予算の資金調達に協力しており、引き続き財政安定化を支援していく考えだ。

 また、中銀はインフレが引き続き抑制され、また、通貨ルピア相場が落ち着くのを待ち、下期(7-12月)には追加利下げの可能性が高く、市場の一部では年末までに0.50-0.75ポイントの利下げを予想している。

 中銀はインフレ率が物価目標(3%上昇±1%)内に抑制される見通しになれば、21年は4.8-5.8%増の経済成長を目指すとしている。20年のインフレ率は1.68%上昇と、物価目標のレンジの下限(2%上昇)を下回っている。

 次回の金融政策決定会合は2月18日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 アジア債券<1349.T>、iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>、

 iSエマジン<1582.T>、アセアン50<2043.T>

提供:モーニングスター社

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