アンリツ、営業益上方修正も受注伸び悩み―10-12月計測器事業は前年比14%減
2021/1/28 18:02
アンリツ<6754.T>は28日、今3月期の連結営業利益の計画を175億円から190億円(前期比9.1%増)に上方修正した。主力の計測器の売上が5G向けなどに伸びている。ただ、市場が注目していた昨年10-12月(第3四半期)の受注高は、マーケットの期待値に届かなかったとみられる。
<米国の5G投資が緩慢>
通信分野では、中国などアジア市場を中心に5Gの商用化に伴う基地局やスマートフォン関連の需要を取り込んだ。また、データセンターにおけるデータ処理の高速化の流れも捉えている。半面、米国や欧州ではコロナ禍が逆風になった。また、食品機械も伸び悩み、10-12月の営業利益は42.1億円(前年同期比10.0%減)にとどまった。第3四半期累計(4-12月)の営業利益は141億円(同24.3%増)だった。
10-12月の計測器事業の受注高は180億円(前年同期比14.0%減)だった。低調な前四半期からは約7%拡大したものの、市場は190億-200億円の水準を想定していた可能性がある。北米の回復が緩慢なもようだ。
同社の濱田宏一社長は同日のアナリスト向け電話会議で、1-3月(第4四半期)についても「(アジア好調・北米低調という)状況はあまり変わらないだろう」とした。一方、米アップルが昨年10月にiPhone(アイフォーン)の新機種を投入した効果や、今後の新型コロナウイルスの感染状況の鎮静化によって、来期に向けて受注水準が拡大する見通しを示した。
<長期は「新仕様」「ローカル」期待>
株価は28日も昨年来高値を更新するなど、決算を視野に上昇してきた。このため、10-12月の受注高の伸び悩みを受け反動売りが強まる可能性がある。一方、5Gをめぐっては、自動運転や遠隔医療の基盤となる国際仕様(リリース16)に関連する案件のほか、長期的には、現在は「試験的な引き合いにとどまる」(濱田社長)ローカル5G向け需要の本格化も期待される。
提供:モーニングスター社
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