<新興国eye>ポーランド中銀、政策金利を据え置き―9会合連続

新興国

2021/3/4 11:25

 ポーランド中銀は3日の金融政策委員会で、主要政策金利の7日物レファレンス金利を過去最低水準の0.1%に据え置くことを決めた。また、ロンバート金利と再割引金利、公定歩合、預金金利もそれぞれ0.50%、0.11%、0.12%、0.00%に据え置いた。市場予想通りだった。

 中銀は15年3月に5カ月ぶりに利下げ(0.50ポイント)したあと、同4月に据え置きに転じ、20年3月4日の定例会合まで55会合連続で据え置いたが、新型コロナウイルスのパンデミック(感染症の世界的大流行)による経済への悪影響を抑制するため、同17日の緊急会合で5年ぶりに0.50ポイントの大幅利下げを決めた。4月も0.50ポイント、5月も0.40ポイントと、3会合連続で引き下げ、利下げ幅は計1.40ポイントに達し、6月会合で据え置きに転じた。21年に入っても据え置いており、これで9会合連続の据え置きとなる。

 政策金利を据え置いたことについて、「ポーランドの20年10-12月期GDP(国内総生産)は前7-9月期に続いて前年水準を下回った。ただ、純輸出(輸出額-輸入額)の増加が寄与し、減少幅は限られた。20年全体はマイナス成長となったが、21年は回復する見通しだ。回復の程度はパンデミックと国内外の感染拡大阻止の経済規制によって決まり、先行きの見通しは不透明だ」とし、前回2月会合時と同様、景気の先行きに懸念を示した上で、「(20年の3回の)利下げを含むさまざまな経済対策や世界経済の回復の見通しがポーランド経済に好影響を及ぼす」とし、これまでの経済・金融対策の効果を見守りたい考えを示した。

 一方、中銀は金融システムに流動性を潤沢に供給するため、通常の公開市場操作(オペ)に加え、量的金融緩和(QE)を一段と強化するため、20年4月会合で流通市場から国債や政府保証債を買い入れることを決めたが、今回の会合でもQE政策を据え置いた。買い入れ時期や規模についても、中銀は前回会合時と同様、「金融市場の状況を判断して決める」とした。パンデミックの悪影響を受けている企業が銀行から借り換え融資が受けられるよう手形割引を通じて支援する政策も据え置いた。

 また、中銀は金融緩和政策の経済支援効果を高めるため、為替相場の安定を目指して必要に応じ、市場介入を実施する方針も据え置いた。

 中銀は今回の会合で、最新の経済予測を示した3月四半期インフレ報告書を承認した。それによると、21年のインフレ率見通しは2.7-3.6%上昇(20年11月の前回予測は1.8-3.2%上昇)、22年は2.0-3.6%上昇(同1.6-3.6%上昇)と、いずれも前回予測から引き上げ、新たに23年は2.2-4.2%上昇と予想した。また、GDP見通しについては、21年は2.6-5.3%増(同0.8-4.5%増)、22年は4-6.9%増(同3.8-7.8%増)と、21年を上方修正した。23年は4.0-6.8%増とした。市場では、中銀の経済の見通しについて全体的に楽観的とみている。

 次回の会合は4月7日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>、上場MSエマ<1681.T>

提供:モーニングスター社

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