FOMC、政策金利と量的金融緩和政策を据え置き―出口戦略の議論は時期尚早
<チェックポイント>
●23年末までゼロ金利政策維持の見通し
●21年GDP予想を6.5%増、22年を3.3%増にいずれも上方修正
●21年コアインフレ率予想を2.2%上昇、22年を2.0%上昇にいずれも引き上げ
FRB(米連邦準備制度理事会)は17日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を現状のゼロ金利(0-0.25%)に据え置くことを全員一致で決めた。市場予想通りだった。
現行のゼロ金利とQE(量的金融緩和)規模を据え置いたことについて、FRBは声明文で、「米国や世界中で新型コロナのパンデミック(感染症の世界的大流行)が経済や人的な面で甚大な困難を引き起こしている。最近の経済活動や雇用を示す指標は改善したが、パンデミックの悪影響が最も深刻な経済セクターは依然、ぜい弱だ」とした上で、「目前の新型コロナ危機が経済活動や雇用、インフレに下押し圧力をかけ続けており、経済の先行き見通しにとって大きなリスクとなっている」と現状の金融緩和状況を継続する必要性を指摘した。
市場では最近の米長期金利の上昇に対するFRBの対応にも注目していた。長期金利の上昇が借り入れコストの上昇を引き起こし、回復し始めた経済に打撃を与えるという懸念が国内の株式市場や社債市場だけにとどまらず、新興国市場でもくすぶっているからだ。この問題について、パウエルFRB議長は、「現在、われわれがとっている金融政策スタンスは適切だ」とした上で、「現状の800億ドルの国債と400億ドルのMBS(不動産担保証券)の買い入れも適切な状態にある」とし、長期金利の上昇を静観する考え。また、「テーパーリングをいつ実施するかについて、今は議論するは時期尚早」と市場へのけん制姿勢を示した。
このほか、大手金融機関に適用される補完的レバレッジ比率(SLR)の特別ルール(緩和措置)の延長については言及せず、パウエル議長は「数日後に発表がある」と述べるにとどめた。この措置は3月末に期限を迎えるが、債券トレーダーを中心に緩和終了に伴って大手金融機関が債券保有を減らすのではないかと不安視しており、市場も関心を寄せている。
当面の金融政策について、FRBは声明文で、前回会合時と同様、「われわれは長期にわたり、雇用の最大化と2%上昇の物価目標の達成を目指す。このため、インフレ率が物価目標を下回っていることから、われわれはインフレ率が当分の間、緩やかに物価目標の2%上昇をオーバーシュートすることを目指す」とし、一定期間の平均でインフレ率を物価目標に収束させる、いわゆる「平均インフレ目標政策(AIT)」のフォワードガイダンスの継続を改めて強調。その上で、「雇用市場の状況が雇用の最大化と判断できる水準に達し、また、インフレ率が2%上昇に達し、当分の間、緩やかに物価目標の2%上昇をオーバーシュートする軌道に乗るまで、現状のゼロ金利水準を継続することが適切だ」との文言も据え置いた。
ゼロ金利の継続期間については、今回の会合で発表された18人のFOMC委員による最新の3月経済・金融政策見通しによると、23年末までゼロ金利政策が据え置かれる見通しが中央値となった。
3月経済・金融政策見通し(中央値)によると、GDP(国内総生産)見通しは21年が6.5%増(12月予想時点は4.2%増)、22年は3.3%増(同3.2%増)と、いずれも上方修正されたが、23年は2.2%増(同2.4%増)と下方修正された。失業率は21年が4.5%(同5%)、22年は3.9%(同4.2%)、23年は3.5%(同3.7%)と、いずれも改善方向に修正された。コアインフレ率については、21年が2.2%上昇(同1.8%上昇)、22年は2.0%上昇(同1.9%上昇)、23年は2.1%上昇(同2%上昇)といずれも引き上げられ、前回予測より2年早い21年に物価目標に達すると予想している。
FRBは今回の会合でも結果重視のフォワードガイダンス(金融政策の指針)を再確認した。声明文で、「われわれの2つの使命である雇用の最大化と物価目標の達成に向かって、さらなる大きな前進が見られるまで国債買い入れを継続する」とした。
次回のFOMC会合は4月27-28日に開かれる予定。
<関連銘柄>
NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、
SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、
NYダウベア<2041.T>
(イメージ写真提供:123RF)
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