<新興国eye>ブラジル中銀、政策金利0.75%に引き上げ―市場予想を上回る利上げ幅
2021/3/18 14:21
ブラジル中央銀行は17日の金融政策決定委員会で、最近の急速なインフレ上昇を受け、期待インフレの上昇ペースを調整(抑制)するため、政策金利(セリック)である翌日物金利誘導目標を0.75ポイント引き上げ、2.75%にすることを全員一致で決めた。市場予想コンセンサスは0.50ポイントの利上げだったため、サプライズとなった。
中銀は19年6月まで10会合連続で現状維持を決めたが、翌7月に景気回復ペースが鈍化する見通しが強まったため、18年3月以来1年4カ月ぶりに利下げに踏み切った。20年は新型コロナのパンデミック(感染症の世界的大流行)による景気悪化懸念が強まったため、8月まで9会合連続の利下げを決め、利下げ幅は計4.50%に達した。このため、9月会合で現状維持に転換し、前回1月会合まで4会合連続で現状維持を決めていた。利上げは15年7月会合の0.50ポイント引き上げ以来、5年8カ月ぶり。また、0.75ポイントの引き上げは10年超ぶりの大幅利上げとなった。
中銀は前回1月会合で、急速なインフレ加速を受け、(物価目標など)所定の条件が満たされない限り、景気刺激スタンスを緩めないとするフォワードガイダンス(金融政策の指針)を終了することを決め、「今後の金融政策の決定はフォワードガイダンスから、もともとのインフレ見通しの上ブレ・下ブレの両リスクを示す標準シナリオを反映する形で行われる」としたが、今回の会合でもこの方針を据え置いた。
ただ、最近のインフレ率は2月のIPCA(拡大消費者物価指数)が前年比5.2%上昇と、1月の4.56%上昇や20年12月の4.52%上昇を上回り、9カ月連続で伸びが加速。4年ぶりの高水準となり、物価目標(中心値3.75%、レンジは2.25-5.25%)のレンジの上限に接近した。このため、中銀は声明文で、「早期の調整(利上げ)により、21年に物価目標を達成できなくなる確率を引き下げられるメリットがある」とし、政策金利を引き上げた。
景気の現状認識については、「政府の緊急的な低所得者向け現金給付プログラムによる財政支援額が減少しているにもかかわらず、ブラジル経済は、特に20年10-12月期GDP(国内総生産)伸び率をみると、引き続き回復が続いていることを示す」とした。ただ、「最近の新型コロナ感染拡大の影響を捉えきれておらず、経済成長の先行き見通し、特に21年1-3月期と4-6月期の不確実性は依然として、従来よりも大きい」とし、懸念を残している。
中銀は最近の急速なインフレ上昇について、声明文で、「現在のインフレ率も今後数カ月のインフレ見通しもコモディティ(国際相場商品)、特にエネルギーの価格上昇傾向の影響を受けている」としたが、「短期的なインフレ上昇圧力が一段と強まっているものの、一時的で長続きしないと判断している」とし、さらに、「今回の利上げ決定は経済見通しの標準予測やインフレの上ブレリスクが急速に高まったため」と調整的な措置だとしている。
今後の金融政策については、「20年GDPは力強い伸びを示しており、大規模な景気刺激策を講じる必要性がない。したがって、金融政策による大規模な景気刺激の度合いを抑え、部分的に通常の金融政策に戻ることを決めた」とした上で、「次回5月会合では、もし、インフレ見通しの上ブレ・下ブレの両リスクのバランスに大きな変化がなければ、金融政策による景気刺激の度合いを抑えるため、今回の利上げ決定と同規模の調整を継続する」と追加利上げの可能性を示唆した。
次回の金融政策決定会合は5月4-5日に開かれる予定。
<関連銘柄>
ボベスパ<1325.T>、iSエマジン<1582.T>、上場MSエマ<1681.T>、
iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>
提供:モーニングスター社
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