<新興国eye>ロシア中銀、政策金利据え置きの市場予想に反し0.25ポイント利上げを決定

新興国

2021/3/22 11:27

 ロシア中央銀行は19日の理事会で、主要政策金利である資金供給のための1週間物入札レポ金利と資金吸収のための1週間物入札預金金利をいずれも0.25ポイント引き上げ、4.50%とすることを決めた。市場予想は据え置きだったため、今回の利上げ決定はサプライズとなった。新型コロナウイルスのパンデミック(感染症の世界的大流行)の鎮静化で国内外の経済活動規制が緩和され、景気回復が進む中、インフレが急加速してきたことからインフレ抑制に動いた。

 中銀は20年の4月会合で、ロシア経済が新型コロナ危機により、急激に悪化する見通しとなったことを受け、景気刺激のため、2カ月ぶりに利下げを再開。6月も2会合連続で利下げを決め、金利水準は14年後半に物価目標を導入して以降で最低水準となった。その後も7月に3会合連続の利下げを決め、利下げ幅は計2.00ポイントに達した。9月会合では過去3回の利下げ効果を見るため、現状維持に転換。前回2月会合まで4会合連続で据え置いていた。利上げは18年12月以来2年3カ月ぶり。

 中銀は政策金利を引き上げたことについて、「1-3月期のインフレ率がわれわれの予測を上回った。内需が着実、かつ、想定上の速いペースで回復してきており、多くの経済セクターで需要が供給の拡大ペースを超えている。一部先進国での追加景気支援や新型コロナワクチン接種の加速により、外需の改善期待も高まってきている」とした上で、「家計と企業でのインフレ期待が高まっており、インフレ見通しの上ブレ・下ブレリスクのバランスは上ブレリスクにシフトした」とし、インフレを抑制するため、利上げに踏み切ったとしている。

 中銀は前回の会合で初めて、「今後の経済と物価の動向や国内外の要因による景気見通しに対する(下ブレ・上ブレ)リスクなどを注視し、金融政策の正常化に向けた中立的な金融スタンスに戻るペースやタイミングを決める」とし、金融政策の方向を転換する考えを示した。また、「需要回復ペースが速く、インフレ加速圧力が高まってきたことで、われわれは金融政策の正常化に向けた中立的な金融スタンスに戻すことが求められている」とし、金融政策の正常化を一段と進める考えを示した。

 中立的な金融スタンスに戻るタイミングやペースについては、「物価目標(4%上昇)の達成との関係で、実際のインフレ率とインフレ見通しの動向や金融政策が波及する一定の期間内での経済成長、金融市場の状況、国内外のリスク要因を考慮し、金融政策を中立的な金融スタンスに戻すペースを決める」とした。その上で、「今後数カ月、追加利上げを行うかどうかについては予断を持たずオープンなスタンスを維持する」とした。

 インフレ率は20年12月と1月にそれぞれ前年比4.9%上昇、同5.2%上昇と、速いペースで上昇したが、直近の2月はそれらを上回る5.7%上昇と、4年ぶりの高い伸びとなった。3月17日時点のインフレ率も5.8%上昇と、物価目標の4%上昇を大きくオーバーシュートしている。

 インフレ見通しについては、「現在の金融政策の(引き締め)スタンスを考慮すれば、22年上期(1-6月)には物価目標の4%上昇に向かって収束する」とした。

 次回の金融政策決定会合は4月23日に開かれる予定。

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