<新興国eye>チェコ中銀、政策金利を据え置き―7会合連続
2021/3/25 13:53
チェコ国立銀行(中央銀行)は24日の金融政策決定会合で、政策金利の2週間物レポ金利を過去最低水準の0.25%に据え置くことを全員一致で決めた。市場予想通りだった。新型コロナウイルスのパンデミック(感染症の世界的大流行)が欧州で再拡大する中、低金利水準を景気を支援する。
中銀は20年の2月会合で、19年5月以来9カ月ぶりに利上げ(0.25ポイント)を再開したものの、パンデミック(第1波感染拡大)による経済への悪影響が強まったことを受け、翌3月16日に緊急会合を開き、急きょ0.50ポイント引き下げた。その後、3月27日の通常会合でさらに0.75ポイント、5月会合でも同率の大幅引き下げを決めた。この3会合連続の利下げにより、下げ幅は計2.00ポイントに達したことから、利下げの効果を見守るため、6月会合から政策金利の据え置きに転じた。これで据え置きは7会合連続となる。
市場では最近のインフレ率が物価目標の2%上昇にまで低下してきたものの、まだ中銀の経済予測を超えていることから、早ければ4-6月期、または7-9月期に利上げに踏み切ると予想していた。
だが、同国のアンドレイ・バビシュ首相が22日、10月総選挙を控える中で、中銀は当面、金融緩和スタンスを維持すべきとの見解を示したことに対し、イジー・ルスノク中銀総裁が翌23日、中銀の中立性を主張し、政治が中銀の金融政策決定に介入すべきではないと反論したため、市場では8月からの利上げ開始という従来の見通しが不透明になったとみている。
同国では感染再拡大で大半の商店などがここ数カ月休業を継続している一方、一部の製造業では経済活動を続けているため労働力不足で賃金が上昇しており、インフレの加速が懸念されている。
国内のインフレ状況については、「21年に入ってから、インフレ率はこれまで物価目標を超える水準(20年秋時点で3%超)から物価目標(2%)に戻ってきた。しかし、まだ経済予測に比べて高水準にある」とした上で、「現在の経済予測では、今年のインフレ率はたばこ消費税の引き上げの効果がそれほど現れず、(公共料金など)政府統制物価の伸びが緩やかなことなどから物価目標の周辺で変動する。しかし、22年はたばこ消費税の効果が強まるため、物価目標をやや上回る」とした。
インフレ見通しについては、「20年1-3月期にインフレ率は物価目標に向かってさらに低下し、その後、年内は物価目標の周辺で変動する。22年は物価目標をやや上回る」としており、ほぼ変わっていないが、現在のインフレ率については、「経済予測に比べて高水準にある」との文言や、「20年10-12月期の賃金の伸びが予測以上にかなり高まった」との文言を追加した。
国内景気の景気見通しについては、「20年10―12月期GDP(国内総生産)は新型コロナの感染再拡大にもかかわらず、前期比で0.6%増となった。前年比ではマイナスだったが、経済予測よりも小幅な落ち込みにとどまった」とした上で、「今の経済予測では新型コロナのパンデミックの悪影響は今後、徐々に緩和し、年内には企業や家計の景況感も改善する。GDPは4-6月期に前年比でプラス成長に戻る。21年全体では2%超の成長率となり、22年はさらに成長率が高まり、徐々にパンデミック前の経済活動に戻る」とした。
今後の金融政策について、「現時点の経済予測の見通しはパンデミックを考慮すると、(インフレや景気の見通しに対する)予測の不確実性や変動リスクは依然としてかなり高い」とした上で、「パンデミックの好ましくない状況を脱するペースが遅れていることや、国内と欧州各国の経済活動の再開が遅れていることを考慮すれば、金融緩和の状況が予測よりも長く維持する必要性がある」とし、当面は金融緩和政策を維持する考えを示した。
中銀の予測では新型コロナ感染拡大が抑制されることを条件に今夏から利上げを開始し、年内に3回の利上げを想定している。また、ルスノク中銀総裁は会合後の会見で、利上げは遅ければ遅いほど経済に取り返しがつかない悪影響を与えないとの考えを示しており、利上げ開始時期は感染拡大が収まるタイミングに左右される見通しだ。
次回の通常会合は5月6日に開かれる予定。
<関連銘柄>
上場EM債<1566.T>
提供:モーニングスター社
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