<新興国eye>カンボジアのインターネット利用回線数、6年間で4倍に

新興国

2021/4/2 13:07

 カンボジアの20年の携帯電話・インターネットの現状等について、カンボジア通信監督機構が統計を発表しています。発表によりますと、20年末の携帯電話加入者数(SIMカード数)は2082万7435台で、19年末の2167万5523台から3.9%の減少でした。携帯電話は、カンボジア全土で普及しており、複数台・複数SIMを保有する人も多いため、携帯電話加入者数は人口(19年実績1555万2211人)を上回っています。

 他方、固定電話加入者数は減少を続けており、14年の36万1056回線から18年末には8万6354回線、19年末には5万7438回線となり、20年末には4万9381回線にまで減少しました。

 インターネット利用数(移動体・固定合計)は増加を続けており、14年の502万5945回線から、18年末に1385万9571回線、19年末に1612万6356回線、20年末には2034万480回線と、14年からの6年間で4倍以上に増加しました。

 カンボジアは、世界で初めて携帯電話の契約者数が固定電話の契約者数を上回った国といわれています。携帯電話は、固定電話のように電話線の引込み等の工事や固定設備を必要とせず、手軽に利用を開始できるため、通信インフラ基盤が十分に整備されていなかったカンボジアでは、固定電話が普及する前に携帯電話が浸透したと見られます。

 このようにカンボジアは、固定電話を飛び越えて、最先端の光ファイバー、ワイヤレス、インターネットプロトコール(IP)で、低コストで全土に通信網を構築し、農村部にまでインターネット環境を広げてきました。途上国では、先進国が一歩一歩進めてきた技術革新を一気に追いつく「リープフロッグ(蛙飛び)」という現象がみられることがありますが、カンボジアの通信セクターは、まさにその好例といえます。

 また、カンボジアの大手携帯会社であるマレーシア系スマート、地場セルカード、ベトナム系メットフォンの3社に加え、中国系のキングテルやシンガポール系のシーテルと計5社が、5Gの試験的運用を開始済であり、早急に本格的使用が開始されることが期待されます。

【筆者:鈴木博】

1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

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提供:モーニングスター社

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