米3月雇用統計、非農業部門雇用者数は前月比91.6万人増―市場予想を大幅に上回る

経済

2021/4/5 9:29

<チェックポイント>

●ワクチン接種や社会活動規制緩和で一時帰休者の職場復帰進む

●失業率6.0%―3カ月連続で低下

●平均時給、前月比0.1%減―2月は同0.3%増

 米労働省が2日発表した3月雇用統計で、非農業部門雇用者数は前月比91万6000人増と、2月の46万8000人増(改定前は37万9000人増)や市場予想の66万-67万5000人増を大幅に上回った。1月以降、3カ月連続の増加で、20年8月(158万3000人増)以来7カ月ぶりの大幅増となった。新型コロナの新規感染者数の減少傾向やワクチン接種の進展のほか、多くの州政府が経済・社会活動への規制を緩和したことや、一時帰休となっていた労働者の職場復帰が継続したことなどが反映された。

 業種別では、建設業が住宅販売の増加や商業施設の建築需要増を受けて増加に転じ、前月比11万人増と、9カ月ぶりの大幅増となった。製造業も2カ月連続で増加した。また、パンデミックの影響を最も強く受けたサービス業が2月に続いて急増した。なかでもレジャー・接客業(主にレストラン・バーなどの飲食業)と小売業、教育・ヘルス(健康サービス)業、運輸・倉庫業、さらには専門・ビジネスサービス業も好調だった。

 過去3カ月間(1-3月)の月平均の雇用者数は、3月が急増したことを反映し、53万9000人増と、2月時点の13万2000人増を大きく上回り、3カ月の月平均の雇用者数の伸びは2カ月連続で加速した。

 一方、失業率は6.0%と、2月の6.2%から3カ月連続で低下し、市場予想とも一致した。

 市場では、労働意欲はあっても仕事が見つからないとして労働市場を去っている数百万人の労働者予備軍を失業者に含めると、失業率は9%超になるとみており、FRB(米連邦準備制度理事会)も実際の失業率は10%近いと推定している。また、経営者が人件費を減らすため、従業員の一部を恣意的に労働者に分類されない独立契約者(個人請負、misclassified workers)として扱っている事例も少なくなく、これらの非正規雇用者を失業者に含めると、失業率は0.6ポイント上昇するとの見方もある。

 広義の失業率(狭義の失業者数に仕事を探すことに意欲を失った労働者数と経済的理由でパート労働しか見つからなかった労働者数を加えた、実質の失業率)は、季節調整後で10.7%と、2月の11.1%から3カ月ぶりに低下した。

 労働市場への参加の程度を示す労働参加率(軍人を除く16歳以上の総人口で労働力人口を割ったもの)は61.5%と、2月の61.4%を上回り、20年の11月と12月の61.5%と一致したが、10月の61.6%を下回っている。

 市場が注目していた賃金(平均時給)の伸びは前月比0.1%(4セント)減と、2月の同0.3%(8セント)増を下回り、市場予想の同0.2%増を下回った。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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