RBA、政策金利と量的金融緩和政策を維持―市場予想通り

経済

2021/4/6 16:22

<チェックポイント>

●4月3週から1000億豪ドルの追加国債買い入れ実施へ

●完全雇用とインフレの目標達成で必要あれば、さらなる国債買い入れを検討

●インフレ率が2-3%の物価目標レンジになるまで利上げせず

 豪準備銀行(RBA、中銀)は6日の理事会で、政策金利であるオフィシャルキャッシュレート(OCR、銀行間取引で使われる翌日物貸出金利)の誘導目標を過去最低水準の0.10%に据え置いた。市場予想通りだった。

 RBAは20年11月会合で、新型コロナのパンデミック(感染症の世界的大流行)の悪影響が現れ始めた3月以来、8カ月ぶりに利下げを決めたが、20年12月会合から4会合連続で据え置いている。

 RBAは声明文で、「豪州経済の回復は順調に進み、予想以上に強い」としたが、前回3月会合時と同様、「豪州経済の余剰生産能力は高く、解消に時間がかかる」として、景気支援の必要性を指摘した。

 また、4月中旬以降も流通市場で残存期間5-10年の国債と地方債を8対2の比率で買い入れるQE(量的金融緩和)プログラムも予定通り継続する。同プログラムは4月中旬に期限切れとなる予定だったが、2月会合で1000億豪ドル増額して6カ月間の延長が決まっていた。RBAは、会合後に発表した声明文で、「最初の1000億豪ドルの買い入れ枠はほぼ完了した。4月3週から1000億豪ドルの追加買い入れを実施する」とした。

 RBAは前回3月会合で、国債買い入れ政策について、「今後、(2月会合で)増額を決めた1000億豪ドルの買い入れ枠が4月中旬以降に使われ、必要があれば、さらに増額する用意がある」とし、QE政策を拡大する可能性を示唆したが、今回の会合でも、「完全雇用とインフレの目標達成で必要があれば、さらなる国債買い入れを検討する」とした。

 金融状況については、「住宅市場は大半の地域で住宅価格が上昇し、一段と強い状況となっている」としたが、「(住宅価格の上昇や低金利により)家計の信用(与信)の伸びは上昇している一方で、企業や投資家の信用の伸びは依然として弱い」と懸念を示した。

 今後の金融政策の見通しについては、「インフレが持続的に2-3%の物価目標の範囲内に収まると確信するまで、政策金利を引き上げない」とのフォワードガイダンス(金融政策指針)を維持した。さらに、「インフレ率が物価目標に収まるには賃金の大幅な上昇が必要で、そのためには雇用が拡大し、タイトな雇用市場に戻らなければならない。われわれは少なくとも24年まで政策金利が引き上げられる状況にはならないと見ている」とし、前回会合時と同様、最低3年間は金融緩和スタンスを維持する方針も据え置いた。

 豪ドル相場については、「豪ドルレートは依然、ここ数年間の相場変動のレンジの上限となっている」と懸念を示した。

 次回会合は5月4日に開かれる予定。

提供:モーニングスター社

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