<新興国eye>カンボジア通貨リエル41周年、NBCが使用促進図る

新興国

2021/4/9 15:15

 3月20日、カンボジアの通貨「リエル」が再導入されて41年となりました。1970年代に原始共産制を標榜した当時のポル・ポト政権は、通貨を廃止し、中央銀行も爆破してしまいました。ポル・ポト政権がプノンペンを追われた直後の1980年3月20日に、通貨「リエル」が再導入されました。しかし、その後の内戦等の混乱もあって、カンボジアではドル化が進み、通貨流通量の8割、預金の9割以上が外貨建て(主にドル)となっています。

 ドル化は、カンボジアへの海外投資誘致には、投資の為替リスクを軽減するといったプラスの効果があります。一方、カンボジア国立銀行(NBC、中央銀行)による金融政策(政策金利や通貨供給量調節など)の実施が困難であること、ドルと他通貨(円、ユーロ、中国人民元、タイバーツなど)の為替変動にさらされるなど、ドル化のマイナス面も目立ってきています。

 NBCでは、脱ドル化のプラス面として、地方部での金融アクセス改善、外貨準備の強化、通貨発行益の確保、偽札の排除などを挙げていますが、一方で、脱ドル化を緩やかに進める方針も掲げており、公務員給与のリエル建て化、株式市場の建値のリエル使用など、リエルの使用促進を図っています。

 カンボジアでは、ポル・ポト時代の影響もあって、現地通貨への信頼度が必ずしも高くなかった時代が続きましたが、最近は、リエル建ての取引、預金・貸付なども伸びてきています。

 しかし、脱ドル化は大変に難しい政策課題の一つであり、10年単位の時間をかけて慎重に取り組んでいくことが必要と見られます。その中で、リエルの使用促進に向けて、少額ドル紙幣の使用を減らすなど、様々な方策を進めています。さらに、中央銀行デジタル通貨「バコン」を発行するなど、NBCの努力は評価に値するものと言えます。地道な努力が引き続き実施されていくことが期待されます。

【筆者:鈴木博】

1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

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提供:モーニングスター社

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