<新興国eye>トルコ中銀、市場予想通り主要政策金利を据え置き―追加利上げ観測後退

新興国

2021/4/16 11:24

 トルコ中央銀行は15日の金融政策決定会合で、インフレを抑制するため、主要政策金利である1週間物レポ金利を19.00%の高水準で据え置くことを決めた。据え置きは市場予想通りだった。

 中銀は20年9月会合で新型コロナのパンデミック(感染症の世界的大流行)による経済への悪影響が薄れ、景気回復ペースが速まりインフレが加速し始めたとして、18年9月以来2年ぶりに2.00ポイント利上げした。10月に金利を据え置いたが、11月会合で一段とインフレを抑制するため、政策金利を一気に4.75ポイント引き上げ、12月の前回会合でも2.00ポイントの追加利上げを決めた。1月会合と2月会合では一連の利上げ効果の様子を見るためとして据え置きを決めたが、前回3月会合で2.00ポイントを引き上げ、利上げ幅は20年以降で計10.75ポイントとなっていた。

 中銀は会合後に発表した声明文で、主要政策金利を据え置いたことについて、「新型コロナのパンデミックの景気抑制効果にもかかわらず、国内の経済活動は内外需に支えられて強い状態にある」とした上で、「今の金融引き締めスタンスによる、銀行借り入れと内需を抑制する効果が当分の間、続くことが重要だと判断し、金融引き締めスタンスの据え置きを決めた」とした。

 前回、利上げを決めた際、中銀はインフレの加速とトルコリラ安の進行を阻止するため、「金融引き締めを前倒しで決めた」とし、インフレ抑制を全面に押し出したが、今回の会合では景気見通しについて、「経済活動のリスクはパンデミックとワクチン接種の進み具合に次第で、上ブレるリスクと下ブレるリスクの両方向がある」とし、前回の会合で使われた「インフレ指標を注視し、必要に応じ、追加金融引き締め措置を講じる」という文言を削除した。

 今後の金融政策の見通しについては、「強いディスインフレ(物価上昇率の鈍化)効果を維持するため、インフレ指標が持続的に低下し、中期の物価目標である5%上昇に収束するまで、政策金利はインフレ率を絶えず上回る水準で決められる」とした。

 トルコ統計局が5日発表した3月CPI(消費者物価指数、03年=100)はパンデミックがピークを過ぎ、経済活動が再開され、景気回復が進む中、前年比16.19%上昇と、2月の15.61%上昇を上回り、5カ月連続で伸びが加速。19年半ば以来、約2年ぶりの高い伸びとなっている。

 次回の金融政策決定会合は5月6日に開かれる予定。

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 上場MSエマ<1681.T>

提供:モーニングスター社

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