<新興国eye>インドネシア中銀、政策金利を据え置き―市場予想通り、2会合連続

新興国

2021/4/21 10:48

 インドネシア中央銀行(BI)は20日の理事会で、主要政策金利の1週間物リバースレポ金利を過去最低水準の3.50%に据え置くことを決めた。市場予想通りだった。過剰流動性を吸収するための翌日物預金ファシリティー金利(FASBIレート)も2.75%、翌日物貸出ファシリティー金利も4.25%と、いずれも据え置いた。最近の米長期金利の急伸により、通貨ルピア安が進んでいることを受け、ルピア相場と景気を支援するためとした。

 中銀は新型コロナのパンデック(感染症の世界的大流行)による景気悪化を受け、景気回復を支援するため、20年の2月から7月まで4会合連続で利下げを実施し、利下げ幅が計1.00ポイントに達したことから、8月から10月まで3会合連続で現状維持とした。その後、国内経済が2期連続でマイナス成長となったため、11月会合で7月以来、4カ月ぶりに0.25ポイントの利下げに踏み切ったが、12月会合と21年1月会合は据え置き。21年2月会合で3会合ぶりに利下げを再開したが、前回3月会合は据え置いており、今回で現状維持は2会合連続となる。

 中銀は会合後に発表した声明文で、政策金利を据え置いたことについて、「今回の据え置き決定は(最近の米国債利回りの急上昇により)世界の金融市場の見通しが不透明となっている中、(急落している)通貨ルピア相場を安定させる必要性と合致する」と前回同様にルピア相場の行き過ぎた下落を阻止したい考えを改めて強調した。

 今後の金融政策については、「景気回復の勢いを支援するため、金融緩和政策とマクロ・プルーデンスな政策(金融システムの安定を目指した政策)のポリシーミックス(複数の経済政策手段の一体運営)を最適化していく」とし、具体的には通貨ルピア相場の安定(過度の相場下落阻止)のため、経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)を反映した動きとなるよう、(ドル売り・ルピア買いの)市場介入を実施すること、また、引き続き金融緩和スタンスを補完するため、公開市場操作(オペ)などの金融市場ツールを強化するとしている。

 中銀はインフレ見通しについて、21年のインフレ率が物価目標(3%上昇±1%)内に抑制されるとの見通しを据え置いた。3月のインフレ率は前年比1.37%上昇と、2月の1.38%上昇や1月の1.55%上昇を下回っている。

 21年の景気見通しについては、従来予想の前年比4.3-5.3%増から4.1-5.1%増に下方修正。下方修正は3会合連続となる。

 中銀はポリシーミックスの一環として、20年7月初め、総額903兆4600億ルピアの新型コロナ危機対策費を政府と共同で負担するため、397兆5600億ルピアの新発国債の直接引き受けを含め、全体の6割超にあたる574兆4000億ルピアを負担することで合意し、20年1年間で約473兆4200億ルピア相当のSBN(短期国債)を買い入れた。21年に入ってからも4月16日までに新たに72兆2700億ルピア相当のSBNを買い入れたとしている。また、20年から中銀は量的金融緩和政策として、金融システムへの流動性の供給を開始しており、これまでにGDP(国内総生産)の5.18%に相当する798兆8500億ルピアを供給したことも明らかにした。

 次回の金融政策決定会合は5月24-25日に開かれる予定。

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