RBA、政策金利と量的金融緩和政策維持を決定―5会合連続で市場予想通り

経済

2021/5/6 9:15

<チェックポイント>

●3年国債利回り目標を0.10%に据え置き

●7月会合で3年国債利回り目標を24年11月までに延長するか検討

●銀行向け低金利タームローン制度延長せず―6月末打ち切りへ

 豪準備銀行(RBA、中銀)は4日の理事会で、引き続き景気を支援するため、政策金利であるオフィシャルキャッシュレート(OCR、銀行間取引で使われる翌日物貸出金利)の誘導目標を過去最低水準の0.10%に据え置いた。市場予想通りだった。

 RBAは20年11月会合で、新型コロナのパンデミック(感染症の世界的大流行)の悪影響が現れ始めた3月以来、8カ月ぶりに利下げを決めたが、20年12月会合で据え置きに転換。これで据え置きは5会合連続となる。

 RBAは声明文で、「豪州経済の回復は順調に進み、予想以上に強い」としたものの、「それにもかかわらず、インフレ上昇圧力は依然弱い。今後の物価と賃金の上昇は緩やかでわずかとなる可能性が高い」と前回4月会合に引き続き、景気支援の必要性を指摘した。

 また、2月会合で、計1000億豪ドル買い入れるQE(量的金融緩和)プログラムの規模を期限切れとなる4月中旬以降も継続し、さらに1000億豪ドル増額することを決めたが、今回の会合でもこれらの方針を据え置いた。

 金融状況については、前回会合時と同様、「住宅市場はすべての大都市圏で住宅価格が上昇し、一段と強い状況となっている」とした上で、「(住宅価格の上昇や低金利により)家計部門の信用(与信)の伸びは上昇している」、「住宅価格の上昇と低金利の状況を考慮し、家計部門の借り入れ(債務)動向を注視する。家計への融資条件が維持されることが重要だ」と家計部門の債務拡大に懸念を示した。

 また、RBAは今回の会合でも20年3月に導入した公認預金銀行(ADI)向け期間3年の低金利タームローン(証書貸付)制度を据え置いた。同制度は20年9月会合で21年6月末まで延長され、融資規模も約2000億豪ドルにまで拡大されたが、今回の会合では、「金融状況がかなり改善されたことを考慮すると、延長は検討していない」とし、6月末で打ち切りたい考え。タームローン金利は20年11月、0.25%から0.10%に引き下げられている。

 また、前回の会合で、「21年末までに3年国債利回り目標を24年4月満期に据え置くか、または、次の満期(24年11月)まで延長するかについて検討する」としたが、今回の会合では、「7月会合で、3年国債利回り目標を24年4月満期に据え置くか、または、次の24年11月満期に延長するかどうか検討する」とした。

 金融政策の見通しについては、RBAは前回会合時と同様に、「インフレが持続的に2-3%の物価目標の範囲内に収まると確信するまで、政策金利を引き上げない」とのフォワードガイダンス(金融政策指針)を維持した。さらに、RBAは、「インフレ率が物価目標に収まるには賃金がかなり上昇する必要があり、そのためには雇用が大幅に拡大し、タイトな雇用市場に戻る必要がある。RBAは少なくとも24年まで政策金利が引き上げられる状況にはならないと見ている」とし、最低3年間、金融緩和スタンスを維持する方針も据え置いた。

 ロウRBA総裁は、賃金と失業率を金融政策の前面に出し、失業率を5%を下回ることが賃金の上昇を引き起こすとの考えを示している。3月の失業率は5.6%に低下しており、雇用者数もパンデミック前の水準に戻ってきている。

 RBAは、失業率の見通しを20年末時点で約5.0%に低下し、22年末時点で約4.5%になると予想している。GDP(国内総生産)見通しについては、21年が4.75%増、22年は3.50%増と予想。また、インフレ率見通しについては、「4-6月期に前年同期のインフレ率が低かったため高めの数値が出る、いわゆるベース効果により、一時的に3.0%超の上昇と、物価目標(2-3%上昇)を超えるが、21年は1.5%上昇、23年半ばに2.0%上昇になる」と予想している。

 次回会合は6月1日に開かれる予定。

提供:モーニングスター社

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