<新興国eye>マレーシア中銀、政策金利を据え置き―感染拡大で景気下ブレリスク警戒

新興国

2021/5/7 11:27

 バンク・ネガラ・マレーシア(中銀)は6日の金融政策決定会合で、政策金利である翌日物政策金利(OPR)を過去最低の1.75%に据え置くことを決めた。市場予想通りだった。

 中銀は20年の1月会合で「物価安定と経済成長の上昇軌道を確実にするための予防的措置」として、8カ月ぶりに利下げを再開したが、新型コロナのパンデミック(感染症の世界的大流行)が始まった3月に0.25ポイントの追加利下げを実施。その後も5月と7月にも4会合連続で利下げし、利下げ幅は計1.25ポイントに達している。金利据え置きは20年9月以降、これで5会合連続となる。

 中銀は景気の現状について、「最近の経済指標をみると、マレーシア経済は1-3月期と4月にかけて、改善の兆候がみられた。感染拡大を抑えるため、一部の地域で経済・社会規制が再導入されたことで、短期的に経済に悪影響が及ぶが、大半の経済セクターで経済が再開されているため、悪影響は以前ほど厳しいものにはならない」としたが、「パンデミックの先行きが不透明なこと、また、国内外でワクチン供給に悪影響が及ぶ、新たな問題が起きる恐れがあり、マレーシア経済の成長率の見通しには依然、下ブレリスクがある」と警戒感を強めている。

 4月中旬のラマダン(断食月)入りとともに、新型コロナウイルスの感染が再拡大し、重症患者が急増したため、政府は5日、経済・社会規制を再び強め、景気の急回復の見通しが後退した。また、新型コロナワクチンの供給量が少なく、インド型変異ウイルスが国内で確認されたことで、景気下ブレリスクが高まっている。このため、市場では、中銀が大幅利下げに踏み切る可能性は完全に排除できないとみている。

 今後の金融政策の見通しについては、「(現在の)金融政策のスタンスは適切で、金融緩和となっている」、「パンデミックの見通しが不透明なことを考えると、今後の金融政策スタンスは新たなデータや情報、インフレと景気の見通しに対するリスクを勘案して決められる」とした上で、前回会合時と同様、「景気回復を持続させる環境を作るため、適切な金融政策手段を講じることにコミットする(積極的に関わる)」とし、今後大きな変動が起きた場合、金融緩和を一段と強める可能性を示唆した。

 今年のインフレ見通しについては、「2.5-4.0%上昇になる」と予想した。ただ、4-6月期は前年同期のインフレ率が低かったため、高めの数値が出る、いわゆるベース効果により、一時的に、急伸するとみている。

 次回の会合は7月8日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 ブルサKLC<1560.T>、iSエマジン<1582.T>、アセアン50<2043.T>、

 アジア債券<1349.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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