<新興国eye>クボタとメタウォーター、カンボジア・プノンペン下水事業を受注

新興国

2021/5/7 12:04

 4月21日、クボタ<6326.T>傘下のクボタ建設とメタウォーター<9551.T>で構成する共同企業体は、カンボジア・プノンペン都初の公共下水道施設整備事業を受注したと発表しました。日本政府のODA(政府開発援助)・無償資金協力案件「プノンペン下水道整備計画」の一環となります。受注金額は23億4000万円で、下水処理場(1日当たり処理能力5000立方メートル)の建設および下水管渠(1.9キロメートル)の敷設を行います。契約期間は32カ月で、5月に着工し23年11月半ばの完工を目指すとのことです。

 プノンペンは現在、急速な都市化と人口増加により汚水量が増大しており、下水道処理施設の整備が喫緊の課題となっています。現状では下水処理場は存在せず、下水は全て中小河川からメコン河などに排出されています。そこで、本事業では、プノンペン都の中でも特に水質悪化が著しいチュングエック湖の周辺地域に下水道処理施設を建設するとともに、下水管渠を整備し、汚水処理を適正化することで、プノンペン都の水・衛生環境および地域住民の生活環境向上に寄与するとしています。

 また、本事業でメタウォーター社が開発した下水処理システム「前ろ過散水ろ床法(Pre-treated Trickling Filter法)」が採用されています。この技術は、日本下水道事業団の「海外向け技術確認」を受けており、すでにベトナム・ホイアン市の下水処理施設(18年11月完成)で採用された実績があるとしています。このシステムは、稼働時の使用エネルギーが少なく、維持管理が容易という特徴を持ち、施設の運用コストを抑えることができるとのことです。

【筆者:鈴木博】

1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

◎当該記事は外部執筆者により作成されたものです。記事は執筆者が信頼できると判断したデータなどにより作成いたしましたが、その正確性などについて保証するものではありません。

提供:モーニングスター社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ