<新興国eye>トルコ中銀、主要政策金利を据え置き―市場予想通り

新興国

2021/5/7 12:04

 トルコ中央銀行は6日の金融政策決定会合で、インフレを抑制するため、主要政策金利である1週間物レポ金利を19.00%の高水準で据え置くことを決めた。市場予想通りだった。

 中銀は20年9月会合で新型コロナのパンデミック(感染症の世界的大流行)による経済への悪影響が薄れ、景気回復ペースが速まりインフレが加速し始めたとして、18年9月以来2年ぶりに2.00ポイント利上げした。10月に金利を据え置いたが、11月会合で一段とインフレを抑制するため、政策金利を一気に4.75ポイント引き上げ、12月の前回会合でも2.00ポイントの追加利上げを決めた。1月会合と2月会合では一連の利上げ効果の様子を見るためとして据え置きを決めたが、前回3月会合で2.00ポイントを引き上げ、利上げ幅は20年以降で計10.75ポイントに達した。据え置きは前回4月会合に続いて、これで2会合連続となる。

 中銀は会合後に発表した声明文で、主要政策金利を据え置いたことについて、前回会合時と同様、「新型コロナのパンデミックの景気抑制効果にもかかわらず、国内の経済活動は内外需に支えられて強い状態にある」とした上で、「高水準のインフレとインフレ期待を考慮すると、4月の四半期インフレ報告書で示されたインフレ率の大幅低下見通しが達成されるまで今の金融引き締めスタンスが維持される必要があると判断し、金融引き締めスタンスを据え置いた」としている。

 3月会合で利上げを決めた際、中銀はインフレの加速とトルコリラ安の進行を阻止するため、「金融引き締めを前倒しで決めた」とし、インフレ抑制を全面に押し出したが、前回4月会合では、景気見通しについて、「経済活動のリスクはパンデミックとワクチン接種の進み具合次第で、上ブレリスクと下ブレリスクの両方向がある」とし、金融引き締めが行き過ぎて景気の腰を折らないよう再利上げに慎重な姿勢に転換した。この背景には、トルコのエルドアン大統領が利上げはインフレを抑制するよりも反対にインフレを加速させるという通常の経済理論とは異なる見方を支持していることがある。

 今後の金融政策の見通しについては前回会合時と同様、「強いディスインフレ(物価上昇率の鈍化)効果を維持するため、インフレ指標が持続的に低下し、中期の物価目標である5%上昇に収束するまで、政策金利はインフレ率を絶えず上回る水準で決められる」とした。

 トルコ統計局が3日発表した4月のCPI(消費者物価指数、03年=100)は、前年比17.14%上昇と、3月の16.19%上昇を上回り、7カ月連続で伸びが加速した。

 他方、中銀が4月29日に発表した最新の四半期インフレ報告書では、21年末時点のインフレ率見通しを12.2%上昇(予想レンジは10-14.4%上昇)とし、前回3月調査時点の9.4%上昇(予想レンジは7.3-11.5%上昇)から大きく引き上げたが、4月の前年比17.14%上昇は一過性でピークに達したと見ている。22年末時点の見通しは前回予想の7.0%上昇から7.5%上昇に引き上げたが、23年末時点では物価目標の5%上昇に収束するとの予想を据え置いている。

 次回の金融政策決定会合は6月17日に開かれる予定。

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 上場MSエマ<1681.T>

提供:モーニングスター社

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