米4月コアCPI、前月比0.9%上昇―前年比3.0%上昇で共に市場予想を大幅に上回る

経済

2021/5/13 10:54

<チェックポイント>

●米国債市場、CPIの強い結果受け10年国債利回りが1.7%近辺まで急伸

●中古車、自動車保険、航空料金、ホテルが大幅上昇

●全体指数は前月比0.8%上昇―市場予想上回る

 米労働省が12日発表した4月のCPI(消費者物価指数)は、FRB(米連邦準備制度理事会)が重視しているコアCPI(価格変動が激しいエネルギーと食品を除いたもの)が前月比0.9%上昇と、3月の同0.3%上昇や市場予想の同0.3%上昇を上回った。

 一方、コア指数の前年比は3.0%上昇と、3月の1.6%上昇を上回り、2カ月連続で伸びが加速。1996年以来の高い伸びとなり、13カ月ぶりにFRBの物価目標(2%上昇)を大幅に上回った。

 FRBはインフレ加速について一時的との見方を変えていない。ただ、クラリダFRB副議長が「上昇幅の大きさには驚いた」と発言したことがFRBの想定を上回るものと受け止められ、ニューヨーク債券市場で、10年国債の利回りはこの日の10年債入札を前に一時1.7%に迫った。

 コア指数の前月比の内訳は、ワクチン接種の急速な普及で旅客需要が回復してきた航空各社の航空運賃が10.2%上昇と、3月の0.4%上昇を上回り、2カ月連続で上昇。ホテル宿泊料も8.8%上昇と、3月の4.4%上昇を大きく上回った。中古車(乗用車とトラック)も10.0%上昇と、3月の0.5%上昇に続いて2カ月連続で上昇した。

 運輸サービスは全体で2.9%上昇(3月は1.8%上昇)と、75年以来46年ぶりの高い伸びを示した。なかでも乗用車・トラックのレンタカー料金は16.2%上昇と、3月の11.7%上昇や2月の7.4%上昇に続いて、3カ月連続の高い伸びとなったほか、自動車保険も2.5%上昇(3月は3.3%上昇)となった。また、低迷が続いていたアパレルは0.3%上昇と、3月の0.3%低下から3カ月ぶりに上昇に転じた。

 一方、CPIの構成ウエートの約3分の1を占める「シェルター」価格(家賃・宿泊費)は、帰属家賃(OER、持ち家でも借家と同様に住宅サービスを受けているとして家賃で評価したもの)が0.2%上昇(3月も0.2%上昇)となったが、ホテル宿泊料が大幅に上昇したため、全体で0.4%上昇と、20年2月以来14カ月ぶりの高い伸びとなった3月の0.3%上昇からさらに伸びた。

 全体指数(季節調整後)は前月比0.8%上昇と、3月の0.6%上昇を上回り、5カ月連続で伸びが加速し、市場予想の0.2%上昇を大幅に上回った。

 エネルギーのうち、前月比でガソリンは1.4%低下と、3月の9.1%上昇や2月の6.4%上昇、1月の7.4%上昇から5カ月ぶりに低下した。重油も3.2%低下と、3月の3.2%上昇から低下に転じた。この結果、エネルギー全体では0.1%低下と急減速した。

 食品は0.4%上昇と、3月の0.1%上昇や2月の0.2%上昇を上回り、伸びが加速した。食品のうち、レストランなどで提供された外食価格は0.3%上昇と、3月の0.1%上昇から加速。一方、自宅調理用の食品も0.4%上昇(3月は0.1%上昇)と、伸びが加速した。

 CPI全体指数の前年比は4.2%上昇と、3月の2.6%上昇を上回り、08年9月(4.9%上昇)以来12年7カ月ぶりの高い伸びとなった。また、市場予想の3.6%上昇を大きく上回った。これはパンデミック直後のインフレ率(20年の3月は前年比1.5%上昇、4月は同0.3%上昇、5月は同0.1%上昇)が低かったために高めの数値が出る、いわゆるベース効果だ。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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