Ubicom、21年3月期決算を発表、戦略的投資を吸収し過去最高益を更新

株式

2021/5/13 17:13

 Ubicomホールディングス<3937.T>は13日大引け後、2021年3月期決算を発表した。

 連結売上高は41億9800万円(前年同期比4.0%増)、営業利益は9億1900万円(同29.9%増)、経常利益は8億7700万円(同22.6%増)、純利益は6億2300万円(同17.0%増)だった。新型コロナウイルスの感染拡大の中でも積極的に高収益モデルへの変革を推進し、第3四半期(20年10-12月)から実施した戦略的投資をこなして過去最高益を更新した。

 フィリピン子会社を活用したソリューション開発を手掛けるグローバル事業は大手PCメーカーなどピラー(主要)顧客からの横展開に関わる売上とソリューションの受注を獲得し、売上高は前年同期比微増を確保した。また、フィリピンにおける従業員向け送迎車費用やリモート体制に移行するなどコロナ対応支出や戦略的投資を吸収したうえで、営業利益は増益を確保した。

 エンタープライズ事業部においては積極的な人材投資が効果を上げ、金融セクターを中心に既存案件が拡大し、製造・公共セクターの新規大型案件も推進した。大手監査法人系グローバルコンサルティンググループ向けAI(人工知能)チャットボットなど、アセット化した開発基盤を用いた案件も順調に拡大している。コロナ禍におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)化をチャンスととらえ、さらなる事業拡大に向け先端IT人材投資を中心に戦略的投資も実行している。

 また、医療経営支援ソリューションのメディカル事業はMightyシリーズのパッケージ販売に関わる直販、重ね売り(顧客単価アップ)、価格政策の実施により、ストック収益が順調に伸びた。高収益サブスクリプション型ビジネスモデルを確立した上、高収益構造の次世代レセプトチェックシステム「Mighty Checker EX」の寄与が大きく、セグメント利益が大幅に改善し、営業利益率は51.1%となった。

 今後もさらなる高収益の実現に向け、直接販売の推進、価格政策の実行、ソリューションの重ね売りを推進する。そのため、人員強化のほか、保険会社向け新ソリューションの開発・横展開、データ分析(健保組合、学会など)、医療のデジタル化やデータ保全・セキュリティに関わる新事業の立ち上げなど、将来のさらなるサブスク収益源の確保に向け、積極的な投資を継続する予定。

 一方、新事業として「保険ナレッジプラットフォーム」を開始した。保険業界DXの早期実現に向けたアライアンス(生命保険エコシステム構想)に合意し、保険ナレッジプラットフォームの横展開をスタートしている。保険金支払審査業務を効率化する業界初(自社調べ)の判定支援プラットホームはネット系生命保険会社で採用が内定した。

 22年3月期業績は売上高49億6300万円(前期比18.2%増)、営業利益10億7900万円(同17.4%増)、経常利益11億400万円(同25.9%増)、純利益8億1100万円(同30.2%増)で、連続最高益更新の見通しだ。なお、同社予想は保守的な傾向があり、このたびの計画にはアライアンスによる開発力の増強やプラットホームビジネスの推進などによる収益寄与分は入っていないことから、22年3月期もこれまで同様、計画の上ブレが期待される。

提供:モーニングスター社

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