<新興国eye>カンボジア、分散台帳技術を活用した海外送金サービス開始へ

新興国

2021/5/21 11:22

 5月7日、SBI Ripple AsiaとカンボジアのSBI LY HOUR Bank Plc.は、ベトナムの商業銀行Tien Phong Commercial Joint Stock Bank(TPBank)との間で、カンボジアにおいて初となる分散台帳技術を活用した実際の通貨での送金ビジネスを開始すると発表しました。

 SBIホールディングス<8473.T>(以下、SBIグループ)が70%出資するSBI LY HOUR Bankとベトナムを代表するTPBank間で、リアルタイムかつ最低水準の手数料で、カンボジア-ベトナム間で利便性の高い国際送金サービスを提供するとしています。すでに、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行の承認を得ているとのことです。

 SBIグループの北尾吉孝代表は、「SBIグループが推進する分散台帳技術をはじめとした新たなテクノロジーを、特に経済発展の著しいアジア地域において、グループ内外の企業に惜しみなく提供することで、シナジーを最大限に追求する方針です。将来的には、暗号資産を組み入れた送金サービスの開発につなげるなど、先端技術を活用した金融のグローバル化をリードしていきたいと考えております」と述べています。

 日本ではまだ実用化に至っていない先進技術を活用したサービスが、カンボジアで開始されることは注目されます。カンボジアでは、日本で見られるような過去のしがらみが少ないことから、先進技術の開発・導入が大胆に実施できるという利点があります。

 日本の銀行から海外に送金しようとすると、着金までに2-3日かかり、手数料も高額です。今回のサービスでは、即時に着金し、手数料も大幅に低下するものと見られます。同様のサービスは、シンガポール-タイ間など東南アジア地域の一部で始まっている模様ですが、こうした先進的なサービスがカンボジアをハブとして展開されていくことが期待されます。

【筆者:鈴木博】

1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

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提供:モーニングスター社

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