<新興国eye>ハンガリー中銀、政策金利を据え置き―10会合連続

新興国

2021/5/26 14:34

 ハンガリー中央銀行は25日の金融理事会で、主要政策金利であるベース金利(準備預金への付利金利)を過去最低水準の0.60%に据え置くことを決めた。他の政策金利についても、ベース金利の上下幅(コリドー)の下限を示す翌日物預金金利をマイナス0.05%に、また、上限を示す翌日物有担保貸出金利と7日物有担保貸出金利もそれぞれ1.85%に据え置いた。

 中銀は新型コロナウイルスのパンデミック(感染症の世界的大流行)の景気への悪影響や金融市場の混乱を抑えるため、20年4月7日の臨時会合で、ベース金利のコリドーの上限を示す翌日物有担保貸出金利と7日物有担保貸出金利をいずれも0.90%から1.85%に引き上げた。これは銀行が資金を中銀に預けるよりもインターバンク市場で積極的に運用(貸し出し)することを促し、市場の流動性供給を高めることを狙った措置。その後、20年の6月と7月にベース金利だけを各0.15%、2会合連続で引き下げた。据え置き決定は8月以降、これで10会合連続となる。

 中銀は会合後に発表した声明文で、政策金利を据え置いたことについて、前回4月会合時と同様、「われわれの使命は、物価を安定させ、金融市場の混乱を防ぎ、政府の経済政策を支えることだ」とした上で、「インフレは今後数カ月、急変動する可能性が高い。経済の再開で需給がタイトとなり、また、燃料価格の上昇や4月からの消費税引き上げなどにより、インフレが急加速する」とインフレ加速懸念を示した。

 インフレ見通しについては、「インフレ見通しの上ブレリスクが全体的に高まっている。商品相場や国際輸送コストの上昇が外部のインフレ要因となっている。また、新型コロナ危機からの経済再開で需給がタイトとなり、また、労働市場もタイト化して賃金が上昇しており、インフレ上昇リスクは一段と高まっている」とした。同国の4月のインフレ率は前年比5.1%上昇と、9年ぶりの高水準となり、EU(欧州連合)加盟国の中でも群を抜いて高く、物価目標(2-4%上昇)を上回っている。

 今後の金融政策については、「現在の先行き不透明な経済環境がインフレの持続的的上昇を引き起こすことを防ぐ必要がある。インフレ加速リスクを緩和し、物価の安定を維持するため、われわれは適切な手段を講じる用意がある」と金融引き締めに転換する可能性を強調した。

 景気見通しについては、「ハンガリー経済は強い回復の兆候を示している。3月の失業率も前月より低下し、賃金の伸びも堅調だ」とした上で、21年GDP(国内総生産)見通しを4-6%増と、従来予想のまま据え置いたが、「伸び率はレンジの上限(6%増)に近い伸びとなる」としている。また、「ハンガリー経済は遅くとも21年10-12月期までにはパンデミック前の水準に戻る」とした。

 次回の金融政策決定会合は6月22日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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