<中原圭介の相場観>6月堅調も7月は軟調の流れか

株式

2021/6/8 7:54

 前週末の米5月雇用統計は市場予想を下回り、同日のNYダウは史上最高値に迫る展開となった。米国のマーケットでは、過去2カ月の雇用回復の鈍化によって、テーパリング開始の兆しは早くても8月のジャクソンホール会議になるだろうと安堵(あんど)の声が広がっているようだ。

<米上昇相場は初夏まで安泰?>

 NYダウは3万6000ドルに達するばかりか、3万7000ドルが視野に入ってくるかもしれない。当然のことながら、ナスダック指数が最高値にトライする局面もあるかもしれない。

 そういった意味では、日経平均株価が6月中にも再度3万円にトライすることも想定される。その上、国内でワクチンの接種が進むにつれて、NYダウとの格差が開いていた分、日経平均の上昇期待が高まっているのも追い風だ。

 しかし、7月には軟調になる展開を懸念している。というのも、海外投資家が東京五輪開催のリスクを意識し始めるだろうと予想しているからだ。

<海外投資家が意識し始めた政治リスク>

 海外投資家が最も嫌うのが、政治的なリスクだ。菅政権が五輪を強行開催して感染の再拡大が起こった場合、政権が崩壊したり、衆院選挙で与党が敗北したりするシナリオを想定してくる可能性も十分に考えらえる。

 このシナリオが現実になったケースでは、日経平均は再び5月13日の安値2万7385円を目指す展開があるかもしれない。決して油断できない展開が続くと考えてリスク管理を徹底しながらマーケットに臨んだ方が無難だといえる。

 その一方で、今のところ可能性は低いものの、世論の反対を受けて五輪が中止になる場合もあり得る。そうなれば政治リスクがなくなり、海外投資家の本格的な日本株買いが期待できるだろう。

 いずれにしてもメーンシナリオでは、日本株の新たな霧が晴れるまでに、五輪という悪材料をどう消化していくのか、しばらく時間をかけて見守るしかなさそうだ。

(アセットベストパートナーズ 中原圭介)

提供:モーニングスター社

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