米5月コアCPI、前月比0.7%上昇―4月0.9%上昇から鈍化も市場予想上回る

経済

2021/6/11 10:31

<チェックポイント>

●前期比では、中古車、新車、航空料金、アパレルが大幅上昇

●前年比3.8%上昇―29年ぶりの高い伸びで市場予想上回る

●全体指数、前月比0.6%上昇―市場予想上回る

 米労働省が10日発表した5月CPI(消費者物価指数)はFRB(米連邦準備制度理事会)が重視しているコアCPI(価格変動が激しいエネルギーと食品を除いたもの)が前月比0.7%上昇と、4月の同0.9%上昇から伸びが鈍化したものの、市場予想の同0.4%上昇を上回った。経済活動の再開が一段と進んだことが物価の一段の上昇につながった。

 一方、コア指数の前年比は3.8%上昇と、4月の3.0%上昇をさらに上回り、3カ月連続で伸びが加速。1992年以来、29年ぶりの高い伸びとなり、市場予想の3.5%上昇も上回った。

 4月と5月が大幅上昇となったのは、ワクチン接種の進展を反映し、多くの州で経済・社会活動への規制が緩和し、景気回復が進んでいる一方で、自動車用半導体の深刻な供給不足などに見られるようにサプライチェーンのボトルネック(制約による品不足)で財やサービスのコストが急上昇したため、と市場ではみられている。

 ニューヨーク債券市場では5月CPIを受け、10年債利回りが一時、1.53%台に急上昇。ただ、その後はFRB(米連邦準備制度理事会)がテーパリング(量的金融緩和の段階的縮小)を急ぐほど強くはないとの見方が広がり、米東部時間午前11時47分時点で1.491%に低下した。

 コア指数の前月比の内訳は、ワクチン接種の普及で旅客需要が回復してきたことを反映し、航空運賃が7%上昇と、4月の10.2%上昇からさらに伸びた。また、中古車(乗用車とトラック)も7.3%上昇と、4月の10%上昇に続いて3カ月連続で上昇した。

 運輸サービスも全体で1.5%上昇(4月は2.9%上昇)となった。なかでも乗用車・トラックのレンタカー料金は12.1%上昇と、4月の16.2%上昇に続いて、4カ月連続の高い伸びとなったほか、アパレルも1.2%上昇と、4月の0.3%上昇に続いて2カ月連続で上昇した。

 一方、CPIの構成ウエートの約3分の1を占める「シェルター」価格(家賃・宿泊費)は、帰属家賃(OER、持ち家でも借家と同様に住宅サービスを受けているとして家賃で評価したもの)が0.3%上昇(4月は0.2%上昇)となったが、ホテル宿泊料が0.4%上昇(4月は8.8%上昇)に伸びが鈍化したため、全体で0.3%上昇(4月は0.4%上昇)となった。

 全体指数(季節調整後)は前月比0.6%上昇と、4月の0.8%から伸びが鈍化したものの、市場予想の0.4-0.5%上昇を上回った。

 エネルギーのうち、前月比ではガソリンは0.7%低下と、4月の1.4%低下に続いて2カ月連続で低下したが、重油は2.1%上昇と、4月の3.2%低下から上昇に転じた。この結果、エネルギー全体では横ばいとなり、4月の0.1%低下から落ち着いた。

 一方、食品は0.4%上昇と、4月と同じ高い伸びとなった。食品のうち、レストランなどで提供された外食価格は規制解除の効果で外食機会が増え、0.6%上昇と、4月の0.3%上昇から伸びが加速した。一方、自宅調理用の食品は0.4%上昇(4月も0.4%上昇)だった。

 CPI全体指数の前年比は米経済の再開が進んだことにより、5%上昇と、4月の4.2%上昇や3月の2.6%上昇を上回り、08年8月(5.4%上昇)以来12年9カ月ぶりの高い伸びとなった。また、市場予想の4.7-4.8%上昇を上回った。これはパンデミック直後のインフレ率(20年の3月は前年比1.5%上昇、4月は同0.3%上昇、5月は同0.1%上昇)と、かなり低かったため、高めの数値が出る、いわゆるベース効果だ。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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