<新興国eye>ロシア中銀、政策金利を0.50ポイント引き上げ―利上げは3会合連続

新興国

2021/6/14 10:16

 ロシア中央銀行は11日の理事会で、主要政策金利である資金供給のための1週間物入札レポ金利と資金吸収のための1週間物入札預金金利をいずれも0.50ポイント引き上げ、5.50%とすることを決めた。市場予想通りだった。

 中銀は20年の4月会合で、ロシア経済が新型コロナ危機により、急激に悪化する見通しとなったことを受け、景気刺激のため、2カ月ぶりに利下げを再開。6月も2会合連続で利下げを決め、金利水準は14年後半に物価目標を導入して以降で最低水準となった。その後も7月に3会合連続の利下げを決め、利下げ幅は計2.00ポイントに達した。9月会合では過去3回の利下げ効果を見るため、現状維持に転換。前回2月会合まで4会合連続で据え置いていた。これで3会合連続の利上げとなり、利上げ幅は計1.25ポイントに達した。

 中銀は追加利上げを決めたことについて、「国内外の経済は予想以上の速いペースで回復しており、現在のインフレ率は供給を上回る需要の急回復や、短期的にはコモディティ(国際相場商品)相場の上昇により、われわれが想定した水準を超えている。また、インフレ見通しの(上ブレと下ブレの)リスクバランスはかなり上ブレ方向にシフトしている」と、インフレ懸念が前回4月会合時より一段と強まったとしている。

 今後の金融政策については、「景気が完全に回復すれば、インフレ加速圧力が上昇し、インフレ率は物価目標を大幅にオーバーシュートする可能性がある。これは次回7月会合で、さらなる政策金利の引き上げを必要とさせる」とし、追加利上げの可能性を示唆した。

 政策金利の決定については、前回会合時と同様、「物価目標(4%上昇)の達成との関係で、実際のインフレ率とインフレ見通しの動向や金融政策が波及する一定の期間内での経済成長、金融市場の状況、国内外のリスク要因を考慮して決める」とした。

 インフレの見通しについて、中銀は22年下期(7-12月)に物価目標の4%上昇に達したあと、それ以降は物価目標に近い水準で推移すると予想している。前回会合では22年半ばに物価目標の4%上昇に達すると予想していた。

 現在、同国のインフレ率は20年12月と1月にそれぞれ前年比4.9%上昇、同5.2%上昇と、速いペースで上昇し、2月には5.7%上昇と、4年ぶりの高い伸びとなった。3月も5.8%上昇と、さらに上回った。4月は5.5%上昇と、やや低下したが、5月には6%上昇、6月7日時点でも6.15%上昇と、6%台にインフレ率が加速し、物価目標を大きくオーバーシュートしている。

 景気見通しについては、パンデミック前の水準に戻るのは早ければ21年4-6月期とし、前回会合時の同年下期(7-12月)から前倒しし、景気回復が早まるとした。

 次回の金融政策決定会合は7月23日に開かれる予定。

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