<新興国eye>ブラジル中銀、政策金利を0.75ポイント引き上げ―追加利上げ示唆

新興国

2021/6/17 12:25

 ブラジル中央銀行は16日の金融政策決定委員会で、最近の急速なインフレ上昇を受け、期待インフレの上昇ペースを調整(抑制)するため、政策金利(セリック)である翌日物金利誘導目標を0.75ポイント引き上げ、4.25%にすることを全員一致で決めた。市場の予想通りだった。

 中銀は19年6月まで10会合連続で現状維持を決めたが、翌7月に景気回復ペースが鈍化する見通しが強まったため、18年3月以来1年4カ月ぶりに利下げに踏み切った。20年は新型コロナのパンデミック(感染症の世界的大流行)による景気悪化懸念が強まったため、8月まで9会合連続の利下げを決め、利下げ幅は計4.50%に達した。このため、9月会合で現状維持に転換し、前回1月会合まで4会合連続で現状維持を決めていた。しかし、インフレの急加速を受け、前回3月会合で5年8カ月ぶりに利上げに転じた。今回の会合でも同率の大幅利上げを3会合連続で実施。利上げ幅は計2.25ポイントに達した。

 中銀は年初の1月会合で、急速なインフレ加速を受け、(物価目標など)所定の条件が満たされない限り、景気刺激スタンスを緩めないとするフォワードガイダンス(金融政策の指針)を終了することを決め、「今後の金融政策の決定は(従来の)フォワードガイダンスから、もともとのインフレ見通しの上ブレ・下ブレの両リスクを示す標準シナリオを反映する形で行われる」とし、今回の会合でも金融政策を通常に戻すという方針が踏襲された。

 今回の追加利上げについて、「標準シナリオではインフレが加速する見通しで、経済見通しに対する上ブレ・下ブレリスクのバランスも通常より崩れやすくなっている」とした上で、「一時的なインフレ加速による経済ショックが広がるのを抑える調整が必要になっている」とした。また、「追加利上げは金融政策が波及する一定の期間内(22年も含む)にインフレ率が物価目標に収束させる見通しと合致する。また、物価の安定の目標を損なうことなく、雇用の最大化と経済変動の抑制に寄与する」とした。

 今後の金融政策については、前回会合時と同様、「次回会合では通常の金融政策に戻すプロセスを継続するため、今回の利上げ決定と同規模の調整を継続する」と追加利上げの可能性を示唆した。ただ、前回会合で使われた「部分的に通常の金融政策に戻ることは景気回復期に、ある程度の景気刺激を残すことが適切だ」との文言を削除し、代わりに「金融政策が波及する一定の期間内にインフレ期待が悪化(上昇)した場合、(景気過熱を抑制するため)景気刺激を急いでやめる必要がある」との文言を加え、金融引き締めペースを引き上げる可能性を示した。

 次回の金融政策決定会合は8月3-4日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 ボベスパ<1325.T>、iSエマジン<1582.T>、上場MSエマ<1681.T>、

 上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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