ZUU「サービス拡充で『金融再創造』目指す―冨田和成社長に聞く

株式

2021/6/25 12:13

 ZUU<4387.T>は金融資産3000万円、年収700万円以上のアッパーマス、富裕層をターゲットとする金融情報提供サイト「ZUU online」の運営のほか、ITを活用した金融機関向けDX支援サービスなども手掛ける。金融系プラットホームを通じてサービスを提供するフィンテック・サービスに注力し、成長性は高い。同社の現状と今後について、冨田和成社長に聞いた。

 ――コロナ禍の中でも、御社の前2021年3月期決算は連結売上高27億8900万円(前々期比51.0%増)、営業損益1400万円の黒字(前々期実績1億600万円の赤字)と、売上高が大きく伸び、営業損益は黒字化しました。

 「積極的な投資の効果もあって『ZUU online』など自社メディアの認知度が向上したことから、訪問ユーザー数は増え、送客事業も順調です。組織改善マネジメントシステム『PDCA-Cloud』や、自社開発のコンテンツマネジメントシステム『MP-Cloud』も、一部で契約締結の遅れがあったものの、SaaS(Software as a Service)ツールとしての提供に注力したことから堅調に推移しました。新型コロナの影響によるオンライン化の進展が送客支援、SaaSツール提供など、当社の事業の追い風になった面もあります」

 ――御社のビジネスモデルを教えてください。

 「自社メディアのユーザー拡大だけにとどまらず、メディア運営を通じて培ったノウハウをデジタル・マーケティング領域のコンサルティングに生かし、顧客企業向けメディア・プラットホームの構築、運用支援にも力を入れています。このメディア・プラットホームは顧客企業にとってオンライン上の営業店と位置付けられ、顧客企業のマーケティング強化、営業コスト削減に効果を発揮します。当社の収入源には自社メディアの広告収入のほか、顧客企業への送客、プロモーション支援、SaaS提供などがあり、SaaSなどストック型の収入が着実に増えています」

 ――御社の目標とするものは何ですか。

 「金融機関には、決済、送金、預金などのオペレーション機能と、顧客と接点を持ち、顧客を開拓するディストリビューション機能があり、現状ではこの2機能を金融機関がほぼ手掛けています。しかし、この2機能を分離し、金融機関はオペレーション機能に専念し、非金融企業がディストリビューション機能を担えば、金融機関は潜在的なユーザーの効率的な開拓が可能になります」

 「一方、当社の金融メディアは個人向けだけでなく、経営者向けの『THE OWNER』なども運営しています。当社プラットホームとともに、当社メディアが収集する幅広い情報を利用すれば、金融機関はより効率的な顧客開拓ができるようになります。当社は今後、金融機関の集客支援にとって、より一層重要な存在になっていきたいと思います」

 「また、最近ではインターネットを活用して非金融企業が銀行代理店業を手掛けるケースが増えています。当社はさまざまな非金融企業と提携し、提携企業のディストリビューション機能を支援しており、こうした動きも今後さらに大きなものにしていくつもりです」

 ――新事業の展開について聞かせてください。

 「20年2月に株式投資型クラウドファンディング(CF)などを手掛けるユニコーンを子会社化しました。これにより、金融サービスの直接運営に向け体制を整え、企業のさまざまなニーズに対応するため、融資型、株式投資型、購入型の3タイプのCFプラットホームを構築しました。さらに、信用スコア事業、金融サービス仲介業、STO(セキュリティ・トークン・オファリング)サービスなどへの参入を検討しており、そのための人材強化も進めています。こうしたサービス強化により、当社のプラットホームを介した金融サービス・ネットワークを拡充することで、将来的には金融DX(デジタルトランスフォーメーション)を促進する『金融再創造』を目指します」

提供:モーニングスター社

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