<新興国eye>ルーマニア中銀、政策金利を据え置き―3会合連続

新興国

2021/7/8 12:12

 ルーマニア国立銀行(中銀)は7日の金融政策決定会合で、主要政策金利である1週間物レポ金利を1.25%に据え置くことを決めた。

 また、中銀は主要政策金利の±0.50ポイントのレンジの上限にあたる市中銀行に資金供給するためのロンバート型貸出金利も1.75%、下限にあたる資金吸収のための預金金利も0.75%と、いずれも据え置いた。

 中銀は18年7月から20年2月まで14会合連続で政策金利を据え置いたが、その後、新型コロナのパンデミック(世界大流行)による国内経済への悪影響が懸念されたことから、20年の3月20日の緊急会合で政策金利を0.50ポイント引き下げ、5月と8月も各0.25ポイント引き下げた。11月会合では据え置きを決めたが、21年に入り、1月会合で市場の予想に反し、0.25ポイント引き下げに転じた。利下げ幅が20年以降、計1.25ポイントに達したことを受け、前回3月会合から据え置きに転じ、これで3会合連続の据え置きとなる。

 また、中銀は金融システム内の流動性を適切に管理するため、市中銀行が中銀に預ける預金準備率についても自国通貨建ての預金準備率を8%に据え置く一方で、1月会合で外国通貨建ての預金準備率をECB(欧州中央銀行)や欧州各国の中銀との足並みをそろえるため、1.00ポイント引き下げ、5.00%としたが、これも据え置いた。

 中銀は会合後に発表した声明文で、現状維持を決めたことについて、「(インフレや雇用市場の)先行きに対する不確実性が高まっている」とした。

 インフレの現状と見通しについては、「5月のインフレ率は主にエネルギー価格の上昇で前年比3.75%上昇と、4月の同3.24%上昇を上回り、物価目標(1.5-3.5%上昇)のレンジの上限をオーバーシュートした。また、5月のコアインフレ率(間接税率の変更の影響を除くため一定税率ベースでみたコアインフレ率)も同2.9%上昇と、4月と変わらずとなった」とした上で、「インフレ見通しはサプライチェーンのボトルネック(制約による品不足)や電気・ガス料金の値上げにより、短期的には伸びが加速し、最新の5月経済予測を上回る」とした。

 また、「今後のパンデミックとそれに伴う経済活動規制の進展が、少なくとも短期的なインフレ見通しの不確実性要因になる」とし、目先のインフレ加速リスクに懸念を示した。

 雇用環境や景気動向については、「最近の雇用市場は思ったよりも好ましい状況になっている。企業の雇用意欲の面でも好ましい状況だが、新型コロナ感染の見通しの不確実性はぬぐい切れず、政府のさまざまな景気支援策も期限を迎える」とし、景気の先行きに懸念を示した。

 金融政策の見通しについては、「景気回復を支え、金融市場の安定を維持し、インフレ率を中期的に物価目標と一致するよう物価の安定を図ることを目指す」とした上で、「中期的な物価安定の達成に必要なあらゆる手段を講じる用意がある」としている。

 次回会合は8月6日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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