ECB、物価目標を「2%未満」から「中期的に2%」に変更

経済

2021/7/9 10:28

<チェックポイント>

●インフレ率が一時的に2%を上回ることを容認

●緩やかかつ一時的なカイ離が上下両方向にあり得る物価上昇は問題ない―ECB総裁

●金融政策運営において気候変動問題を考慮すると言明

 欧州中央銀行(ECB)は8日、物価目標を従来の「2%未満」から「中期的に2%」に変更すると発表した。ECBは20年1月から18カ月間にわたり、金融政策の戦略見直しを進めてきた。今回の物価目標の変更は物価目標を下回り続けているディスインフレ(物価上昇率の鈍化)基調からの脱却を目指すための新しいフォワードガイダンス(金融政策の指針)となる。22日に開かれる定例理事会で正式採用される。

 ECBは声明文で、「物価を安定させるためは中期的に2%上昇の物価目標を目指すことが最適と考える。この物価目標は一時的なカイ離が上下両方向にあり得るシメントリック(上下が対称)なものとなる」とした上で、「これはインフレ率が物価目標をアンダーシュートした場合、(景気刺激により)インフレ率が2%上昇を緩やかにオーバーシュートするのを容認する」とした。「オーバーシュートを容認する期間や程度については、緩やかかつ、一時的なら問題ない」(ラガルドECB総裁)としている。

 シンメトリックな物価目標という点ではFRB(米連邦準備制度理事会)が20年9月に採用した、インフレ率がある程度2%上昇の物価目標をオーバーシュートすることを容認する、いわゆる「平均インフレ目標政策(AIT)」の新フォワードガイダンスと似ているが、市場ではECBの新しい物価目標がインフレ率のオーバーシュートを「緩やか」で「一時的な期間」と限定したため、FRBのAITより効果は弱いと見ている。

 今後、ECBは短期的にはハト派スタンスを続け、成長重視の姿勢が明確になったとして、物価目標の変更の発表後、ユーロ買いが進み、1ユーロ=1.185ドルと、ドルに対し0.5%上昇した。1カ月前の1ユーロ=1.22ドル台だった。

 また、今後の金融政策の運営において気候変動問題を考慮すると言明。社債の買い入れ配分に関する枠組みを調整し、気候変動の要件を組入れ、気候変動リスクの低減を図っていく方針だ。

提供:モーニングスター社

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