<新興国eye>マレーシア中銀、政策金利を据え置き―6会合連続、市場予想通り

新興国

2021/7/9 12:20

 バンク・ネガラ・マレーシア(中銀)は8日の金融政策決定会合で、政策金利である翌日物政策金利(OPR)を過去最低の1.75%に据え置くことを決めた。市場予想通りだった。

 中銀は20年の1月会合で「物価安定と経済成長の上昇軌道を確実にするための予防的措置」として、8カ月ぶりに利下げを再開したが、新型コロナのパンデミック(感染症の世界的大流行)が始まった3月に0.25ポイントの追加利下げを実施。その後も5月と7月にも4会合連続で利下げし、利下げ幅は計1.25ポイントに達している。金利据え置きは20年9月から始まり、これで6会合連続となる。

 中銀は景気の現状について、「マレーシア経済は1-3月期から4月にかけて、輸出や小売りの消費、雇用市場などの経済指標で経済活動の改善が見られたが、ロックダウンの再導入による経済・社会規制が今後、経済成長の勢いに打撃を与える」と先行きに懸念を示した。

 ただ、「重要な経済セクターは引き続き事業を継続する余力があることや、外需が依然強いこと、家計部門や企業の借り入れの負担を軽減する政府の経済支援策により経済・社会規制の悪影響は部分的に緩和される」とした上で、「規制の段階的解除とワクチン接種の普及、強い外需に支えられ、22年にかけて景気は回復する」との見方も示している。

 インフレ見通しについては、「4-6月期のインフレ率は主にベース効果により急加速したが、一過性で終わり、ベース効果が薄れれば短期的にはインフレの伸びは緩やかなになる」とみている。5月のCPI(消費者物価指数)は前年比4.4%上昇と、4月の同4.7%上昇をやや下回ったが、21年の物価目標(2.5-4%上昇)を上回っている。

 金融政策の見通しについては、「パンデミックの見通しが不透明なことを考えると、今後の金融政策スタンスは新たなデータや情報、インフレと景気の見通しに対するリスクを勘案して決められる」とした上で、前回会合時と同様、「景気回復を持続させる環境を作るため、適切な金融政策手段を講じることにコミットする(積極的に関わる)」と今後大きな変動が起きた場合、金融緩和を一段と強める可能性を示唆した。

 次回の会合は9月9日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 ブルサKLC<1560.T>、iSエマジン<1582.T>、アセアン50<2043.T>、

 アジア債券<1349.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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