来週の東京外国為替市場見通し=米景気回復の期待後退や日本の景気先行き不透明感が重し
予想レンジ:1ドル=108円20銭-111円65銭
5-9日のドル・円は下落した。週明け5日は、前週末発表の米6月雇用統計を受けた下落からの反発の動きとなった。6日は、弱い米6月ISM(サプライマネジメント協会)非製造業景況指数の結果や米景気回復鈍化懸念などを受け、ドル・円は上値の重い展開。7日に公表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨では、FRB(米連邦準備制度理事会)による早期テーパリング(量的金融緩和の縮小)の姿勢が示されなかったことから、ドル売り・円買いに傾いた。8日は、米国の景気回復期待が後退する中、投資家のリスク回避姿勢が強まった。週末9日は、日本株が急落する中、投資家のリスク回避志向が強まり、ドル売り・円買いが加速した。
米国では、14日にベージュブック(地区連銀経済報告)が公表される。新型コロナによる影響下からの景気回復について、足元では期待が後退していることもあり、内容に注目したい。また、米経済指標では、米6月CPI(消費者物価指数)、米6月小売売上高などが発表される。予想より弱い経済指標が続けば、景気回復期待が一段と後退する可能性がある。
15-16日には日銀の金融政策決定会合が開催される。景気の先行きについては、海外の景気回復を背景に、外需の増加や政府の景気対策、緩和的な金融政策により楽観的な見方があったものの、新型コロナウイルス感染症拡大による東京の緊急事態宣言が再度発令されるなど、今後の景気見通しには不透明感が強まっている。
ドル・円は13週移動平均線が控える1ドル=109円50銭近辺で下げ止まった形となっているが、ここを抜けると26週移動平均線がある108円20銭近辺までの下押しもありそうだ。またドル売りが想定以上に強まった場合は、4月安値の107円50銭近辺も意識される展開も想定しておきたい。上値メドは直近高値の111円65銭。
提供:モーニングスター社
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