<新興国eye>前週のインド株、デルタ型感染拡大やワクチン接種遅れを嫌気し続落=BRICs市況

新興国

2021/7/12 11:36

 前週(5-9日)のインド株式市場で、代表的株価指数SENSEX指数の9日終値は前日比0.35%安の5万2386.19、週間ベースでも2日終値比0.19%安となり、続落した。

 週明け5日の指数は続伸して始まった。前の週末の米6月雇用統計を好感したほか、医薬品大手セラム・インスティテュート・オブ・インディアが21年に英・スウェーデン資本の製薬大手アストラゼネカ製ワクチンの生産を倍増させる計画や、国内でもワクチン接種が加速するとの観測、さらにはバーラト・バイオテックが開発した新型コロナワクチン「コバクシン」が第3相臨床試験で重症化を防ぐ効果が93.4%だったと発表したことも支援材料となった。

 6日は小反落。家計部門の負債残高が20年度GDP比37.3%に急増したことや、GST(物品・サービス税)の税収が8カ月ぶりに1兆ルピーを割り込んだことが売り材料となった。

 7日は急反発した。7-9月期GDP(国内総生産)が急回復するとの見通しや政府の景気支援策期待で鉄鋼大手タタ・スチールなど鉄鋼株や住宅金融大手ハウジング・デベロップメント・ファイナンス(HDFC)など金融セクターを中心に買いが広がった。

 8日は急反落し、週末9日も値を下げ、続落した。

 8日は、米英大手信用格付け会社フィッチ・レーティングスが21年のインドGDP見通しを従来予想の12.8%増から10%増に下方修正したことや、アジアや欧州でのデルタ型変異ウイルスの感染拡大が景気回復を遅らせるとの懸念が強まり、指数は大きく値を下げた。

 9日は、アジアでのデルタ型の感染拡大やインド国内でのワクチン接種ペースの鈍化が嫌気されたほか、ソフト大手タタ・コンサルタンシー・サービシズが発表した4-6月期決算の利益がアナリスト予想を下回ったことを受け急落し、指数を押し下げた。

 今週(12-16日)のインド市場は、デルタ型変異ウイルス感染拡大やワクチン接種の動向、世界経済、特に米・中・欧の景気動向、米中関係、米長期金利や原油価格の動向、インド国内の景気動向や金融緩和期待、主要企業の四半期決算などが注目される。主な経済指標の発表予定は12日の6月CPI(消費者物価指数)と5月鉱工業生産、14日の6月WPI(卸売物価指数)、15日の6月貿易収支など。

<関連銘柄>

 上場インド<1549.T>、インドNIF<1678.T>、インドブル<2046.T>、

 インドベア<2047.T>、iSエマジン<1582.T>

提供:モーニングスター社

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