「コージェネ」に脚光――家庭用「エネファーム」浸透、電力の安定供給に貢献

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2021/7/20 17:30

 脱炭素社会の実現に向けた動きが加速する中、「コージェネレーションシステム(コージェネ、熱電併給)」への関心が高まる。都市ガスなどから燃料となる水素を取り出し発電する「エネファーム」は家庭での導入が進み、発電時に出る二酸化炭素(CO2)を農業に活用する新たな取り組みも始まった。関連企業の活躍の場が広がりそうだ。

エアウォータはCO2活用

 コージェネは、原動機などを使い電力と熱を供給するシステム。電力と廃熱の両方を有効利用することでCO2排出量の削減と省エネルギーを実現する。需要地近くで発電することから送電ロスをほぼ無くすことができ、従来の送電システムと比べて大きくエネルギー効率を高める。

 これまではホテルや病院、商業施設などの大型施設や産業分野を中心に活用されてきたが、エネファームの登場により自宅で使うケースも増えている。エネファームの販売台数は2009年度の発売以来右肩上がりの状況が続き、今年6月末には累計40.2万台(3月末比2.3%増)に達した。また、突然の停電時のバックアップのほか、非常時にお湯が使える点も評価されている。

 電力と熱の活用に加え、さらにCO2を有効に利用する動きも広がっている。エア・ウォーター(4088)はCO2を植物の栽培促進に活用する「トリジェネレーション」システムを開発した。地元の木材を使ったバイオマス発電を行い、トマトの温室栽培時に使っていた燃料を削減するとともに、光合成を促すために使用していた液化炭酸ガスを発電時に出るCO2で代替する。

仮想発電で東ガス

 また、電力の安定供給への貢献も見逃せない。火力発電の休廃止が相次ぐ中、昨年の冬には大規模な寒波に見舞われ、電力の安定供給に懸念が生じたことは記憶に新しい。経済産業省は今年の夏場と冬場には電力需給がひっ迫するとの見通しを明らかにしており、ここ最近も厳しい暑さが続いている。

 コージェネは電力需要をリアルタイムで把握できるシステムと組み合わせることで、全体の需給に対応した発電を行い、安定供給への貢献が期待される。東京ガス(9531)はエネファームや蓄電池を活用したVPP(仮想発電所、分散型のエネルギーリソースを制御し、1つの発電設備として機能させる仕組み)に取り組む。太陽光や風力などの再生可能エネルギーの調整部分としても活用できる。

日鍛バルや寺崎電気も注目

 エネファームを展開するのは、アイシン(7259)と京セラ(6971)、そしてパナソニック(6752)だ。また、ダイニチ工業(5951)は京セラと組み、世界最小サイズのコージェネ用燃料電池ユニットを開発した。

 コージェネの効率化に貢献するエンジンバルブでは、日鍛バルブ(6493・(2))が浮上する。船舶向けでの実績を武器に、コージェネの内燃機関に採用されている。連結営業利益は前3月期に0.2億円(前々期比99%減)と新型コロナウイルスの影響を大きく受けたものの、今期は31.5億円への急回復を見込む。

 寺崎電気工業(6637・JQ)も船舶用配電制御システムで培った基礎技術をコージェネ向け制御システムに生かす。テスホールディングス(5074)はコージェネシステムやLNG(液化天然ガス)サテライトシステムのほか、コージェネのメンテナンスも手掛ける。

 このほか、富士古河E&C(=FFE&C、1775・(2))は発電設備の工事設計、タクマ(6013)はガスタービンで実績を持つ。また、VPP周辺では日本ユニシス(8056)、ENECHANGE(4169・M)も押さえておきたい。

(写真:123RF)

(市場動向取材班)

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