<新興国eye>インドネシア中銀、政策金利を据え置き―市場の予想通り

新興国

2021/7/26 9:06

 インドネシア中央銀行(BI)は22日の理事会で、主要政策金利の1週間物リバースレポ金利を過去最低水準の3.5%に据え置くことを決めた。市場の予想通りだった。また、過剰流動性を吸収するための翌日物預金ファシリティー金利(FASBIレート)を2.75%、翌日物貸出ファシリティー金利を4.25%と、いずれも据え置いた。

 中銀は新型コロナウイルス感染症拡大による景気悪化を受け、20年2月から7月まで4会合連続で利下げを実施。利下げ幅が計1ポイントに達したことから8月から10月まで3会合連続で現状維持とした。国内経済が2期連続でマイナス成長となったため、11月会合と21年2月会合に利下げを実施したが、その後は据え置きに転じ、今回で5会合連続の据え置きとなる。

 中銀は会合後に発表した声明文で、政策金利を据え置いたことについて、「低インフレが今後も続くと予想される中、景気回復を支援する一方で、(ドルに対し下落している)通貨ルピア相場と金融システムを安定させる必要性と合致する」とし、ルピア安の阻止に加え、今回の会合では新たに世界的な金融市場の混乱によるインドネシア国内の金融システムの混乱を阻止することを強調した。

 また、今後の金融政策については、ルピア相場の安定(過度の相場下落阻止)のため、経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)を反映した動きとなるよう、ルピア買い(ドル売り)の市場介入を実施するほか、公開市場操作(オペ)などの金融市場ツールを強化するとしている。

 インフレ率は6月のCPI(消費者物価指数)が前年比1.33%上昇と、前月の1.68%上昇から減速しており、中銀は、「インフレ率は依然低水準にある」とした。その上で、21年と22年のインフレ率は物価目標(3%上昇プラス・マイナス1%)の範囲内で推移すると予想している。

 ルピア相場については、「世界の金融市場が一段と不安定となる中でも相場安定措置により比較的に落ち着いている」とした。7月21日時点のルピア相場は対ドルで、6月末時点に比べ平均で1.14%のルピア安となり、この結果、年初来で約3.39%安となった。タイやマレーシア、フィリッピンに比べ、自国通貨安の進行は緩やかとしている。

 一方、21年の成長率見通しについては、前回予測の4.1-5.1%増から3.5-4.3%増に下方修正した。感染拡大により成長率が従来予測を下回る見通しとしており、「4-6月期までは主に輸出や公共投資の拡大などにより景気回復が続いたが、7-9月期は感染拡大による経済活動の制限で回復ペースが鈍化する」としている。

 ただ、市場では中銀の追加利下げ余地がなくなってきたとみて、22年までルピア相場を押し下げることになる利下げは行わないとみている。

 なお、中銀による新型コロナ危機対策費としての新発国債の直接引き受けを含めたSBN(短期国債)の買い入れは、21年だけで7月19日時点で101兆1000億ルピア相当に達したとしている。

 次回の金融政策決定会合は8月18-19日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 アジア債券<1349.T>、iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>、

 iSエマジン<1582.T>、アセアン50<2043.T>

提供:モーニングスター社

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